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計画作成(第2回)~現状分析:世界を正しく見る~

現状分析の目的~正しく判断するための材料を集める~

計画は、基本的に将来どう行動するかという未来についてが内容のメインです。そして、その行動は利益につながるものでなければなりません。しかし、現実には必ずしもそのような行動ばかり取るとは限らず、無駄であったり効果が低い行動を取ってしまうこともあります。理由の一つは、現状を正しく認識していないためです。例えば、品質が自社の強みだと思い、アピールする計画にしたとして、ライバルは自社よりももっと品質が高ければその行動は効果が低くなります。つまり、誤った情報やあいまいな情報に基づいて意思決定をしてしまうと、結果導かれる行動も誤ったものになり、必然的に業績に結びつかないあるいは逆に悪化させかねないという事態になりかねないのです。そのため、計画は将来の行動を定めることではありますが、その大前提として現状を正しく分析し、理解する必要があります。

現状分析の流れ~定性・定量、内部・外部、SWOT~

現状分析は様々な切り口から実施します。まず、定性的な分析がメインの事業分析、定量的な分析である財務分析があります。事業分析は、自社以外も対象とする外部分析、自社を対象とする内部分析があります。そして、それらの分析のまとめとしてSWOT分析をし、将来の行動を決めるベースとします。現状分析において意識すべきポイントは、どこに宝が落ちているかわからないということです。つまり、一つ一つの分析情報は既に知っていることであったりありきたりなことであったりして意味がないように感じることもあります。しかし、どこに有用な情報があるかは事前に予想が難しいものです。有用な情報があれば、将来の行動を利益に結びつける上で大変有利になります。そのような情報の取りこぼしをしないためには一つ一つはつまならい各分析を丁寧にすることです。地道な作業が競争優位につながるというのは普遍的な原則です。

事業分析~生き残るだけの価値はあるか~

外部分析

マクロ環境分析

マクロ環境分析は、法規制・金利・人口統計・技術革新等といった企業に間接的に影響を与える外部要因のことです。これらは企業にとってコントロール不能になります。代表的な分析手法にはPEST分析があり、Politics(政治),Economics(経済),Social(社会),Technology(技術)の各視点から分析します。意思決定に与える影響は大きくないため、最低限の分析で十分でしょう。

業界分析

企業の競合や顧客についての分析をします。代表的な分析手法には5フォース分析、3C分析があります。

5フォース分析は、①競合との競争の激しさ、②参入障壁の高さ、③代替品・サービスの出現しやすさ、④買い手の交渉力、⑤売り手の交渉力という5つの視点で分析するものです。これらの情報から何かを導くというよりも、既に知っている情報を整理するという意味合いが強くなります。

3C分析は、市場・顧客(Customer)、競合他社(Competitor)、自社(Company)の3つの視点から分析するものです。3C分析では、顧客にはどのようなニーズがあって、どのような視点で競合や自社を選んでいるかを分析します。将来の行動を決めるのに重要な情報になります。

内部分析

内部分析は事業自体を対象に分析します。代表的な手法にはVRIO分析、バリューチェーン分析があります。両者ともに自社の強みと弱みを把握する目的があります。

VRIO分析は、Value(経済価値),Rareness(希少性),Imitability(模倣可能性),Organization(組織)の区分ごとに把握し、自社の経営資源の競争優位性と不足している資源を把握する手法です。

バリューチェーン分析は、企業の活動を段階別に分け、各機能ごとに分析して改善を目指すものです。

財務分析~重要な指標と自社の現在地~

事業分析が定性的な分析が中心だったのに対し、財務分析は定量的な分析になります。

採算性分析

どの得意先や商品・サービスで儲けているのか、あるいは赤字になっているかを分析します。例えば利益率の高い得意先があったら理由を分析し、横展開できないかを考えるヒントが生まれることもあります。部門別の分析もありますが、大抵はもっと細かいレベルでの分析になります。この分析を基に意思決定に直結することが多く、非常に重要な分析です。多くの経営者の方はある程度の採算のイメージを持っていますが、それでも何かしら新しい気付きが得られることがほとんどです。

どの程度の粒度で分析をするかは費用対効果を考えて決めます。大雑把すぎても意思決定には役に立たず、細かすぎると手間や時間ばかりかかります。バランスを取りながら決めます。

資金繰り分析

資金繰り実績表を作ることにより、企業が獲得する資金と返済や投資などで流出する資金のバランスが取れているかを把握します。将来計画でも資金計画を作りますが、その基になります。

実質純資産

資産と負債を時価評価して算出する純資産額です。金融機関はこの額を基に企業を評価します。もしマイナスであれば一刻も早くプラスにすべきです。

正常収益力

企業が継続的に獲得できる利益を知るために、営業利益や経常利益の中から一時的なものや異常な項目を除いて算出します。

債務償還年数

企業が獲得する資金額と債務額のバランスを図る指標です。一般に、利払い後キャッシュフローで要償還債務を返済する年数が10年を超えると債務が過剰であると言われます。

SWOT分析~将来計画のベース~

事業分析、財務分析といった個別の分析結果を踏まえ、SWOT分析をします。SWOT分析は、Strength(強み),Weakness(弱み),Opportunity(機会),Threat(脅威)の各区分ごとに分析します。分析結果を基に今後の方向性を決めることになりますが、多くは強みを活かし、弱みは克服ないし最小化するような方針を選びます。

窮境原因の把握~根本的な原因に向き合う~

すべての企業に当てはまるわけではないですが、財務が大きく傷んでいる企業は大きな原因があることがほとんどです。それを窮境原因と言います。企業再生の現場ではこれを解消するかどうかを判断することになりますが、再生企業でなくても自社にそのような原因があるのであれば、最優先に除くべきです。でないと、また同じことを繰り返す可能性があります。

まとめ

・誤った情報に基づいて経営判断すると、間違った判断をする。そのため正確な現状分析が必要。

・分析には事業分析と財務分析がある。事業分析には外部分析(PEST分析、5フォース分析、3C分析)内部分析(VRIO分析、バリューチェーン分析)がある。財務分析には採算性分析、資金繰り分析、実質純資産、正常収益力、債務償還年数がある。

・分析の仕上げとしてSWOT分析をする。

・窮境原因があれば除く方法を考える。