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番頭さんを雇って弱点を強みにしよう!

中小企業は数値管理に大きな改善の余地

ほとんどの中小企業に共通する弱点は数値管理だと感じています。特に、どの得意先や商品、事業部門で利益を稼いでいるのか、採算が不明である点が経営の足を引っ張っていることがほとんどです。逆の考え方をすれば、つまり大きな弱点を克服できる方法があるとすれば、それは経営改善の大きな余地があるということです。しかし、現状ではそれを推進するための人材を雇おうと思っても見つかりにくいのが実情でしょう。そこで、銀行OBを雇うことを提案します。

銀行OBの強み

まず、銀行OBは事業の専門家ではありません。銀行員時代に得意な業種を持つこともあるかもしれませんが、事業に関する知識は経営者の方が遥かにあります。一方で、融資や審査畑を歩んでいるのであれば、決算書は星の数ほど見ています。そのため、会社のどこに弱点があるか、改善の余地があるか、見つけることは得意なのです。また、銀行の考え方を知っているため、融資を受ける際の有益なアドバイスをもらえるメリットもあります。

人件費以上に改善効果が見込める

一方、経営者側において、雇うとした場合の気がかりはコストでしょう。華の銀行員OBだから、多額の報酬を支払わなければ雇えないのではないかと。この点については、必要以上に心配する必要はありません。理由の第一は、銀行の定年が早いことです。銀行では出世競争が一般の業界より激しく、最後まで役員として残れるのはごく一部です。ほとんどの方は世間での定年より早く定年を迎えます。そのため、もっと働きたいと希望する銀行OBが多いのです。よって、不当に足元を見られて報酬を吊り上げられるようなことはあまり生じません。第二の理由は、フルで働く必要がないためです。銀行OBを雇うメリットは上述したように、管理体制の整備がメインです。そのため、必要に応じて出勤すれば目的は達成されます。よって、週に三日などでもよいですし、時短でもよく、その分お互いに納得できる報酬を設定することができるのです。

注意点

一方で、注意点もあります。それは、人により能力にばらつきがあるという点です。銀行OBと一口に言っても、経験した分野や業務の密度に当然のことながらばらつきがあります。そのため、事前に経歴や能力を確かめることが必要です。私が見た失敗例としては、メイン行から出向で送り込まれた銀行員が、そのまま転籍という形で入社することがありました。その銀行員に特段秀でた能力はありませんでした。そのため、社長はその銀行OBを辞めさせることもできず、管理面においてもむしろ非効率になるという散々なケースも実際にはありました。よって、メイン行から送り込まれたといってもこの点は会社の将来に直結することですから、重々慎重になるべきです。

社会にも貢献する

ご承知の通り、現在日本においては再雇用の問題が社会問題となっています。業種限定ではありますが、今回の話はそれに対する一つの方策ではないかと考えています。つまり、社会に貢献する一策となるのではないかということです。

一方、繰り返しになりますが、精緻な数値管理、特に採算の管理は中小企業にとって大きな弱点です。そのため、この点を克服すれば、業績が劇的に改善するケースも決して少なくありません。正しいやり方で行えば失敗することはありませんから、重点的に力を入れることで寧ろ大きな強みとすることもできます。数値管理の行き届いた会社というのは、銀行から見ても大変イメージの良いものです。

社会的に有効活用されていない人材をうまく活用し、社会と会社の両方を今よりも望ましい方向に進ませましょう。

※上記内容は、以前別の屋号で書いたブログと同じ内容になります。