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補助金支援(第2回)〜補助金によって経営を悪化させないために〜

補助金はモラルハザードを生む

先日、東日本大震災で甚大な影響を受けた東北の被災地にある事業者を訪問してきました。

この会社は水産加工業者でしたが、原材料の仕入価格が暴騰しており、経営が非常に苦しいとのこと。

暴騰の理由は震災後に獲れるモノが変わったようだという理由もありますが、生産者は手厚い保護があることも理由ではないかと言っていました。

つまり、生産者は補助金によって資金が潤沢なので、経営努力が少なくてもやっていける。

だから売値(加工業者にとっては仕入値)を下げなくてもやっていけるのだと。

生産者側の話を聞いていないのでこの話の真偽は分かりません。

しかし、確かに生産者は農水省により手厚く保護されている印象はあります。

また、東電賠償金の算定方法から生じるモラルハザードのケースも度々耳にします。

つまり、東電賠償金は震災前の売上との差額をベースに補てんするわけですが、この計算式だと売上が少ないほど賠償金が多くなる、つまり営業を頑張らないほど手厚い補助が出てしまうという皮肉です。

マインドに与える悪影響

補助金の目的は、国策として重要な分野を守ったり不利な立場にある事業者を救済することでしょう。

これはこれでもちろん必要です。

しかし、人間の性質としては、頑張らなくてもお金が手に入るなら、やはり楽して儲けようという気持ちが芽生えてしまうのが本当のところなんだと思うんですね。

しかもたちが悪いことに、周りが同じような行動を取っていると、それが全く悪いとも思わない。

今はまだいいです。

でもこのまま何の経営努力をしないで何年も経ってしまったら、必死で経営努力をしている企業と比べて取り返しのつかない実力の差が出来てしまうことになる。

この結果、手厚い保護がなくなった瞬間に経営が立ち行かなくなってしまうのですね。

そのタイミングで事業を止めようという経営者もいますが、これはやはり少し違うのではないかと思うんです。

過剰投資を招く

補助金のデメリットとしてもう一つ大きいのは過剰投資を招きがちだということです。

補助金は必要投資額の半分とか4分の3とか多額の補助が出るのが一般的です。

補助を最大限活かそうとするのが自然な考えでしょうから、目いっぱい投資額を増やそうとします。

しかし、実際は低稼働にとどまることがほとんどです。

低稼働であっても維持費や修繕費などのランニングコストはかかるわけですから、いくら初期投資の段階で補助金によって得をしたとしても、結局は数年で補助金以上の赤字を出してしまうことになるのです。

これも、少しでも補助金を多く利用しよう=儲けようという気持ちから生まれた思考停止が招いた結果です。

派生する影響の見極め

上記以外にも補助金を利用する場合には申請や資料の保存など非常に煩雑な手間がかかるなどのデメリットがあります。

しかし、これは本質的な話ではありません。やはり経営上インパクトが大きいのは経営者のマインドに与える影響と過大投資のリスクでしょう。取り返しがつきませんから。

とはいえ、補助金自体は必要ですし、利用は積極的にすべきだとは思います。

ただ、大事なのは補助金から生まれる副次的な影響、余波を正確に見据えないと予想外のことになる、後で後悔することになるかもしれないという認識をしっかりと持ってほしいのです。

本来経営を楽にするはずの補助金によって経営が傾くとしたら、こんな不幸な話はないではないですか。

※上記内容は、以前別の屋号で書いたブログと同じ内容になります。