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一担当者として、どのように事業性評価のモチベーションを高めるか

事業性評価、昨今巷で大いに話題になっています。

しかし、今の所、順調にいっているという話はあまり聞こえてきません。

行政や金融機関の経営層、各レベルでの課題はあると思いますが、今回は金融機関の支店担当者レベルではどのような心理的態度であればうまくいくのか考えて見たいと思います。

まず、金融機関の支店担当者にとって事業性評価(及びそれに基づく融資)というものはどのような意味を持つのでしょうか。

まずもって、会社の一員としての一番の関心ごとは組織からの自分の評価を高めることでしょう。この点融資獲得件数とか、貸出残高などはわかりやすい情報であり、これを伸ばすための方法もわかりやすいものが多い。

一方、事業性評価融資については、企業の事業の中身を見て融資をしなさい、というものなので、それをするためにどうればよいかわかりにくいし、分かったとしても将来の先のことになる場合もある。つまり、自分の評価を高めることに結びつきにくい。

だから、事業性評価融資というお題目としては理解できるけれども、いざ実行するにあたってはインセンティブが小さい、といった事情がモチベーションが高まらない理由なのではないでしょうか。

この考え方の背景にあるのは、かける手間の量(事業性評価の前提となる作業)と、その手間から得られるリターン(組織からの自分の評価)のバランス、つまりコストパフォーマンスだと思います。

ここではこの考え方を少し変えて見ます。

つまり、かける手間の量を減らした上で、そこから直接得られるものは組織からの評価ではなく、経営者からの信頼という目に見えないものを目指す、という考え方です。

まず、一般的な事業性評価の手順はどのようなものでしょうか。企業の基本情報を理解したうえで、財務状況や損益状況を把握します。その上で、SWOT分析をしたり、競争環境を分析したりという、一般的な事業を理解するための作業をします。さらに余裕があれば商品ごとや取引先ごとの採算を分析します。

全ての担当先についてこのような手続きをするわけではないにしろ、非常に大きな手間です。この手間を打ち破るインセンティブが与えられないから、担当者としてもいまいち乗り気になれない。

そのため、考え方を180度変えてみるのもよいのではないでしょうか。

つまり、事業性の理解に必要とされる項目を一つずつ潰していくのではなく、この会社にとって一番大事なことは何か、という問いを常に深掘りしていくのです。ゴールからの逆算という考え方ですね。

ポイントは、網羅的であることを止めることです。

不要な情報のインプットは無駄でしかないのです。

 
答えになり得る項目はたくさんあります。

それらを押さえた上で、何が大事なのかに焦点を絞る。大事でない情報は頭から消す。

 これを続ければ自ずと本質的な理解が進むし、間違いなく経営者からの信頼を得られます。

最初はありきたりな答えしか浮かばないと思います。

でも、その会社にとって大事なことは何か、問い続けることで独自性のある、その会社特有の言葉になっていきます。

人は理解されることが一番嬉しい。

会社の事業を理解してあげれば経営者も嬉しいし、理解する努力を認められれば貴方も経営者を今までよりもっと好きになれるでしょう。

また、普通のやり方に比べ、自分が成長する実感も早く強く得られると思います。楽しいやり方だと思うのです。

義務的にすべての情報をインプットしようとすれば、逆に大切な情報は何か見えなくなるものです。

常に、最重要な情報は何か、問い続けることで本質を見抜く力がついていくはずです。

個々の担当者のレベルであっても、事務的な負担も心理的な負担も軽いやり方で事業性評価をきちんと進めることは可能です。

自問してください。

担当先の会社で、一番大事なことは何ですか。

※上記内容は、以前別の屋号で書いたブログと同じ内容になります。