この時代の人たちにどう働いてもらうか
人材不足に対する現在の対応方法
中小機構が最近行ったアンケートによると、中小企業の半数以上が人手不足を深刻と感じているそうです。少子高齢化や過疎化を考慮すれば、地方の中小企業において人材を確保するのが困難なのは容易に想像がつきます。では、経営者はこのような人材難にどう対処しているのでしょうか。アンケートによると、従業員の多能工化・兼任化(75.6%)、業務の一部を外注化(39.3%)、残業を増加(35.0%)、業務プロセスの改善・工夫(33.5%)が上位です。これらは確かにオーソドックスな方法です。しかし、これからの時代はもう少し違った視点が必要になってくるのではないかと考えています。
経営者目線から従業員目線に
それは、一言でいうと従業員目線になるという点です。消費者目線という言葉はよく聞きます。これは、作れば売れる時代が終わり、競争が激しくなった時代を勝ち抜くための視点として必要となったため浸透しました。今は、従業員を獲得するのにも、消費者目線と同じように従業員目線が必要だということです。なぜ改めてこのようなことを言うかというと、人材不足の原因を働き手側のせいにする経営者があまりにも多いからです。つまり、今の人は長時間労働に耐えられない、少し怒られたらすぐに会社に来なくなる、面倒な仕事をやりたがらない等々会社側が労働者側に合わせるのではなくて、労働者側が会社に合わせて当然だという意識が根強く残っているためです。しかし、労働者側の質の変化は構造的なもので、文句を言ったところで何も解決しません。そのため、意識を逆転させなければならないのです。
金銭以外の価値をいかに提供するか
従業員目線で会社を選ぶ際、ポイントは金銭以外の価値だと思います。以前、同じ人手不足をテーマにしたコラムを書いた際、会社のブランド化の重要性を説きました。これも同じ視点によるものです。他の具体的な例としては、柔軟な働き方が挙げられます。在宅勤務やフレキシブル勤務など大企業の一部は採り入れていますが、今後は中小企業も同様の流れになるでしょう。また、従業員に裁量を与えることも大切です。中小企業にはワンマンオーナーが多いのですが、大企業と違って優秀な人材が辞める大きな原因は経営者との衝突です。経営者が従業員の積極的なやる気や自主性を尊重しないために、著しくモチベーションが下がってしまうのです。これは今までは仕方ないと軽視されていましたが(中小企業=ある程度のオーナーの専横は仕方がないという諦め)、今後このような姿勢では人材が安定しなくなるでしょう。
中小企業の人手不足は特効薬がありません。
各社が苦しみながら、独自の処方箋を生み出していくのです。
それでこそ他社に真似されず、真に効果的な方法になるなのです。
この問題とは真正面から向き合いましょう。
※上記内容は、以前別の屋号で書いたブログと同じ内容になります。