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金融仲介機能のベンチマークを地域ごとに見る~第26弾:石川県編~

1.石川県の地銀

石川県は製造業が盛んです。また、北陸新幹線が開通したことにより、観光業の伸びも期待されています。

石川県には第一地銀である北國銀行があります。

主要指標は下記表のとおりです。 

北國銀行
経常収益(H29.3)56,729百万円
コア業務純益(H29.3)*115,100百万円
修正OHR(H29.3)*265.5%
経常損益(H29.3)14,000百万円
自己資本比率(H29.3)*312.5%
従業員(直近)1,782名
県内貸出シェア(直近)43%
*1 臨時のものを除いた、銀行本業の収益性を示す指標
*2 経費÷業務粗利益で算出。効率性を示す指標で低い方が良い。地銀の加重平均値は70.3%
*3 国際基準。国際基準では8%以上が義務付けられている。

2.金融仲介機能のベンチマーク項目の比較

では、具体的に同ベンチマークの項目を見てきます。

(なお、項目の詳細な異同については末尾の(参考)に記載しておりますので必要に応じてご参照ください)

共通ベンチマークの掲載はありません。 

選択ベンチマークはM&A支援件数、事業承継支援件数の2項目です。

数値面では各91件、439件と他行平均の1.5倍~2倍程度ありますので高めです。

独自ベンチマークはありません。 

上記から分かるように、北國銀行は金融仲介機能のベンチマークで定められている指標をほとんど載せていません。しかし、情報提供がおろそかかというとそうでもなくて、実績数値などは充実しています。 

3.定性面の比較

北國銀行の経営計画は「NEXT QCS`S」です。キーワードはクオリティ(Q)、コスト(C)、スピード(S)、笑顔(S)です。その中身もオーソドックスなものです。

金融仲介機能のベンチマークについての記載はありません。

定性情報が充実していないわけではないのですが、やはり金融仲介機能のベンチマークの記載がないと、他行と何が違うのかがイメージしにくいです。石川県では地銀が1行のみですので、現実的にどこと比較するのかという論点はあります。しかし、それを考慮してもメッセージ性のある情報発信はすべきです。例えば、事業性評価融資はどのくらいか、担保保証に依存しない融資は実績を上げているのか、重点分野はなんなのか、これらの情報が現状では見えてきません。

北國銀行は革新的な取り組みでメディアに好意的に取り上げられることが多いです。そのため、情報発信についてももっと工夫の余地があるのではないかと思いました。

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(※1)金融仲介機能のベンチマークについては、2017年5月13日のコラムで説明しております。

(参考)

(1)掲載ベンチマーク

共通ベンチマーク

なし

選択ベンチマーク

19 M&A支援先数

21 事業承継支援先数

(2)金融仲介機能のベンチマーク

北國銀行

http://www.hokkokubank.co.jp/company/relation/pdf/170515rireban.pdf

(3)経営計画

北國銀行(平成27年度~平成30年度)

http://www.hokkokubank.co.jp/company/about/outline/plan.html

(4)各行における指標の引用元

基本的には各行のWebサイトより引用しています。修正OHRについては「月刊 金融ジャーナル2017 9月号」、県内貸出シェアについては同「増刊号 金融マップ2018年版」より引用しています。

※上記内容は、以前別の屋号で書いたブログと同じ内容になります。