地域金融機関において専門性をどう高めるか
地域金融機関の経営層に専門家は少ない
金融仲介の改善に向けた検討会議(第8回)の議事要旨が公表されました。
その中で気になったコメントがあります。
地域金融機関は有価証券運用への収益依存度が高いにも関わらず、取締役会や経営陣に有価証券運用経験者が一人もいない銀行があると。
有価証券運用に限らず、コンサルやシステム関係の専門人材は内部で育成しても間に合わないと。
確かに金融機関の主要業務は融資ですから、融資以外の専門家が少ないのは当然です。しかし、地域金融機関経営においてここまで融資以外の分野の重要性が増してくると、これらの専門家も経営に参加するというのは合理的な判断だと思われます。
まずはパフォーマンスの確保
経営層に限らず、地域金融機関においては概して特定分野の専門家は少ないものです。
一方で、金融仲介機能のベンチマークを公表するという流れもあり、事業性評価や事業再生、事業承継、M&Aなど高度な専門能力が求められているのが今の地域金融機関です。そのため、まずは一刻も早くこの期待に応えなければなりなせん。
とすると、行員を育てる時間はないわけです。自行で賄えなければリソースを外部に求めるしかありません。
一番良いのは外部の専門家を雇用することです。しかし、高度な専門能力を持つ専門家は往々にして独立意欲が旺盛ですし、採用するにも好待遇を用意する必要があり、難しいケースもあるでしょう。
その場合は外部専門家との提携が大切になります。案件を安心して任せられるような専門家の質と量の両方を確保するよう準備しておくべきでしょう。この点、金融機関が優良な専門家を必死に探している話というのを聞いたことはありません。
逆に言えば、優良な専門家としっかりパイプを築くことは他行との差別化のポイントになるでしょう。
優良な専門家はまだまだ需要過多ですからね。
行員の教育はやっぱり外せない
短期的には即戦力の外部専門家のパフォーマンスに期待せざるを得ないとしても、中長期的には自行の行員が専門能力においてもその役割を担うべきです。
これは、冒頭の経営層に専門家を参加させるべきという趣旨にも合致します。
ここでも大きな役割を担うのは外部専門家です。
行員の教育面においても一番良いのは専門家を雇うことですが、これが難しい場合はどのような方法がとれるでしょうか。
外部専門家に研修講師を依頼したり、非常勤で勤務してもらい定期的に専門部署の行員へ教育するなどの方法があるでしょう。
いずせにせよ、何かの分野を自行の重点分野とするのであれば、外部リソースの活用に依存し過ぎてしまうといずれ量的に限界がきてしまいます。
そのため自行のリソースを活用するという視点が大事になってきます。
地域経済を担う立場として、地域金融機関には長期的な視点を持って人材を育ててほしいと思います。
※上記内容は、以前別の屋号で書いたブログと同じ内容になります。