金融仲介機能のベンチマークを項目ごとに見る ~第十弾:選択ベンチマーク41-45~
前回に引き続き、金融仲介機能のベンチマークを各々のベンチマークごとに見ていきます。
目次
選択ベンチマーク41
取引先の本業支援に関連する外部人材の登用数、及び、出向者受入れ数(経営陣も含めた役職別)
(掲載率)
2%です。
(最大や平均値)
掲載行が極めて少ないためあくまで参考値ですが、最大値が10、平均が5です。
(寸評)
掲載率が低く、掲載行の水準も低いことから、銀行の内向きの姿勢を表している指標といえるでしょう。従来から本業支援を重視してきた銀行ばかりではないので、銀行単独での本業支援機能には限界があると考えるのが自然です。とすると、必要な人材は外部から持ってくる必要があることになりますが、そういった視点からするとこの掲載率や実績値は寂しい限りです。
選択ベンチマーク42
地域経済活性化支援機構(REVIC)、中小企業再生支援協議会の活用先数
(掲載率)
地域経済活性化支援機構の活用先数が30%弱、中小企業再生支援協議会の活用先数が40%弱です。
(最大や平均値)
銀行の規模の影響は受けますが、地域経済活性化支援機構の活用先数では最大値が20社弱、平均が2社です。
中小企業再生支援協議会の活用先数では最大値が30社程度、平均が10社程度です。
(寸評)
特に中小企業再生支援協議会は事業再生の一般的な選択肢ですから、もっと増えるべきです。事業再生の現場を見ていると、中小企業再生支援協議会を利用した方がよいと思われる企業でも銀行から何も言われないケースが多々あります。そのため、銀行から積極的に利用を促すのは取引先と銀行のお互いによって良い方法です。
選択ベンチマーク43
取引先の本業支援に関連する中小企業支援策の活用を支援した先数
(掲載率)
3割弱です。
(最大や平均値)
最大値が5%程度、平均が1%です。
(寸評)
全取引先に占める割合の平均が1%は低いです。中小企業が自力では入手が困難である中小企業支援策を、銀行という組織力を活かすことができれば効率的に伝えられるはずです。
選択ベンチマーク44
取引先の本業支援に関連する他の金融機関、政府系金融機関との提携・連携先数
(掲載率)
1割弱です。
(最大や平均値)
銀行による規模の影響を受けますが、最大値は200強、最小値は10強、平均は50強です。
(寸評)
提携・連携の定義が銀行間で違いがありそうです。そのため、単純な比較は難しそうです。
選択ベンチマーク45
事業性評価に基づく融資・本業支援に関する収益の実績、及び、中期的な見込み
(掲載率)
1行のみです。
(寸評)
掲載行がほとんどないことから、どのように開示するか不明な点が多々あります。数値の取り方が銀行間で大きく異なりそうですので、いかに分かりやすく伝えるかが今後のポイントになるでしょう。
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※最大値、最小値、平均等の数値はH29.3の数値を用いています。
※上記内容は、以前別の屋号で書いたブログと同じ内容になります。