経営を深め、相談する場

大切なことであるがゆえに目を背けたくなるけど逃げ切れないという事実

中小企業の経営者において一番問題なのは、何が問題なのか分かってないという場合です。

今日訪問した会社もそのような経営者でした。

本業が事業構造的に大きな改善が望めないため、新規事業を伸ばそうと考えています。

しかし、案の定思うように売上は伸びていきません。

ここまではよくある話です。

でも、この経営者が問題なのは、なぜ売上が伸びないのか分かっていない、分かろうともしていないことです。

当然営業活動はたくさんしています。

けれど、売上には結びつきません。

なぜか。

経営者がその商品の良さを分かっていないからです。

こちらからいくつか質問しても、その商品について何も魅力を語れない。

いったい、こんな経営者から買う人はいるのでしょうか。

この場合の一番の問題は商品の個性の把握ができていないことです。

だから、それをすることの必要性を経営者がしっかりと認識することが大切なのです。

それができないとセールストークしようがないし、消費者も買いたい気持ちが湧きません。

ちなみに、この会社は多額の個人資産があります。

先代から相続した資産なのですが、これがあるために事業は赤字でも資金が回ってしまっているのです。

この点も経営者の危機感が薄い理由の一つです。

また、多額の個人資産があるということは、金融機関側から見れば保全が厚いということです。

その分会社を経営改善しようとするインセンティブが低いということですね。とりっぱぐれがありませんから。

このように、経営者も金融機関も、このままではまずいなあと思いながらも、誰もイニシアチブをとって本気で改善しようとは思ってはいません。

今は借入金の返済を停止しており、半年ごとにバンクミーティングを開いている状況です。

みんな借入金の返済をどうするかばかりに気を取られて、一番大事な事業をどうすればうまくいくのか、今のままではなぜ事業がうまくいっていないのかを正面から認めようとする人は誰もいません。

このケースでいえば、この会社の問題点は経営者が自社の商品特性をきちんと把握していないことで、そのような基本的なことをきちんと理解してからでないと有効な打ち手は立てようがないということを、経営者と金融機関とでしっかり共有をすることが必要なのです。

何が問題なのかを正確につかむのはとても難しいことだし、それをどう改善していくかについてもなかなかいい考えが浮かばないことが多いでしょう。

でも、このままではいずれ立ち行かなくなるのは誰の目にも明らかです。

今はただの延命をしているだけなのです。いつか、終わりの時が来るまで。

この状況がいいはずはありません。

誰かがこの状況のままではまずいとはっきりと声を上げる必要があるのです。

それは正しいこと、つまりみんなにとって望ましい方向なので反対はないはずです。

なぜそれが今までできなかったかというと、みんな面倒なことから目を背けて来ただけなのです。

だから、誰が声を上げてもよいのです。

経営者でも、金融機関でも、顧問税理士でも。

残された猶予の時間は、そんなに多くはありません。

※上記内容は、以前別の屋号で書いたブログと同じ内容になります。