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金融仲介機能のベンチマークを地域ごとに見る~第11弾:山梨県編~

1.山梨県の地銀

山梨県には第一地銀である山梨中央銀行があります。これまでの県と異なり、山梨県には地方銀行は一行のみです。

主要指標は下記表のとおりです。

山梨中央銀行
経常収益(H29.3)50,980百万円
コア業務純益(H29.3)*16,400百万円
修正OHR(H29.3)*280.7%
経常損益(H29.3)8,972百万円
自己資本比率(H29.3)*316.3%
従業員(直近)1,685名
県内貸出シェア(H27.3)42%
*1 銀行の本業の収益性を示す代表的な指標
*2 経費÷業務粗利益で算出。効率性を示す指標で低い方が良い。地銀の加重平均値は70.3%
*3 国内基準。国内基準では4%以上が義務付けられています。

2.金融仲介機能のベンチマーク項目

では、具体的に同ベンチマークの項目を見てきます。

(なお、項目の詳細な異同については末尾の(参考)に記載しておりますので必要に応じてご参照ください)

共通ベンチマークは五つすべて掲載しています。

選択ベンチマークは13項目です。ほとんどがオーソドックスな項目ですが、「地元への企業誘致支援件数」や「転廃業支援先数」はやや珍しいでしょうか。一方で、担保・保証に過度に依存しない融資に関連するベンチマークはもっと掲載してほしかったですね。

数値面では、M&A支援件数(H29.3期139件)が他県より明らかに多いです。一方で、運転資金に占める短期融資の割合(H29.3期20.3%)はやや小さいですね。

独自ベンチマークは5つです。面白いと思った項目は二つあります。一つ目は「事業計画の進捗状況により金利を優遇する制度融資のうち、実際に金利を引き下げた取引先数」です。事業計画の精度に対してポジティブなインパクトを与えるでしょうからね。二つ目は「地方公共団体と連携した地方創生にかかる取組の実施件数」です。面的再生についての取組は定性面でも充実していることもあり、重視の姿勢が伝わってきます。

3.定性面

山梨中央銀行の中期経営計画(平成28年度~平成30年度)は「S.T.E.P up 2019」です。概ねオーソドックスな内容ばかりですが、個別戦略に産官学金連携の強化、市場運用態勢の強化・拡充、高度なリスク管理態勢といったテーマを盛り込んだ点がやや特徴的です。

金融仲介機能のベンチマークは、中期経営計画の各種施策を実施することで実現される地域密着型金融推進への取組みの一環として位置付けられています。つまり、同ベンチマーク単独で説明されるのではなく、具体的な取り組みと共に説明されています。特に、自治体等との連携についてのテーマでは、これに関する選択ベンチマーク(企業誘致支援件数)や独自ベンチマーク(地方公共団体と連携した取組の実施件数)が効果的に用いられている印象です。

さらに、M&A支援件数が他県に比べ多いのですが、その理由(本部専担者やグループコンサルティング会社の存在)について説明されているのも感心できました。

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(※1)金融仲介機能のベンチマークについては、2017年5月13日のコラムで説明しております。

(参考)

(1)掲載ベンチマーク

共通ベンチマーク

1 金融機関がメインバンク(融資残高1位)として取引を行っている企業のうち、経営指標(売上・営業利益率・労働生産性等)の改善や就業者数の増加が見られた先数(先数はグループベース。以下断りがなければ同じ)、及び、同先に対する融資額の推移

2 金融機関が貸付条件の変更を行っている中小企業の経営改善計画の進捗状況

3 金融機関が関与した創業、第二創業の件数

4 ライフステージ別の与信先数、及び、融資額(先数単体ベース)

5 金融機関が事業性評価に基づく融資を行っている与信先数及び融資額、及び、全与信先数及び融資額に占める割合(先数単体ベース)

選択ベンチマーク

1 全取引先数と地域の取引先数の推移、及び、地域の企業数との比較(先数単体ベース)

2 メイン取引(融資残高1位)先数の推移、及び、全取引先数に占める割合(先数単体ベース)

11 経営者保証に関するガイドラインの活用先数、及び、全与信先数に占める割合(先数単体ベース)

16 創業支援先数(支援内容別)

17 地元への企業誘致支援件数

18 販路開拓支援を行った先数(地元・地元外・海外別)

19 M&A支援先数

20 ファンド(創業・事業再生・地域活性化等)の活用件数

21 事業承継支援先数

22 転廃業支援先数

23 事業再生支援先における実抜計画策定先数、及び、同計画策定先のうち、未達成先の割合

33 運転資金に占める短期融資の割合

39 取引先の本業支援に関連する研修等の実施数、研修等への参加者数、資格取得者数

独自ベンチマーク

1 事業計画の進捗状況により金利を優遇する制度融資のうち、実際に金利を引き下げた取引先数

2 「分野別経営支援スタッフ*」による取引先支援件数

*地場産業をはじめとした地域企業へ派遣経験のある行員

3 「JiMOCAパートナー*」の先数及びクレジット取扱高

*当行グループが発行する「クレジットカード一体型キャッシュカード『JiMOCA』」の地域特約加盟店

4 地方公共団体と連携した地方創生にかかる取組の実施件数

5 お客様の企業価値向上に資するセミナー・商談会等の開催回数及び参加者数

(2)金融仲介機能のベンチマーク

山梨中央銀行(平成29年7月公表)

https://www.yamanashibank.co.jp/files/chiikimiccyaku_jyokyo2907.pdf

(3)中期経営計画

山梨中央銀行(平成28年度~平成30年度)

https://www.yamanashibank.co.jp/aboutus/policy/plan/

※上記内容は、以前別の屋号で書いたブログと同じ内容になります。