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金融仲介機能のベンチマークを項目ごとに見る ~第五弾:選択ベンチマーク16-20~

前回に引き続き、金融仲介機能のベンチマークを各々のベンチマークごとに見ていきます。

選択ベンチマーク16

創業支援先数(支援内容別)

(掲載率)

複数の項目がありますが、概ね4割から5割の銀行が掲載しています。

(最大や平均値)

創業計画の策定支援では、最大値が千強、平均が百強です。

創業期の取引先へのプロパー融資では、最大値が千弱、平均が三百弱です。

創業期の取引先への信用保証付き融資では、最大値が千強、平均が二百強です。

政府系金融機関や創業支援機関の紹介では、最大値が二百程度、平均が二十程度です。

ベンチャー企業への助成金・融資・投資では、最大値が千強、平均が三十程度です。

(寸評)

融資関連が多く、紹介関連が少なくなっています。計画策定など、融資以外の支援についても銀行の機能からすると十分伸ばせるように思います。

選択ベンチマーク17

地元への企業誘致支援件数

(掲載率)

1割程度の銀行が掲載しています。

(最大や平均値)

最大値が二百弱、最小値がゼロ、平均が三十強です。

(寸評)

大企業を誘致することとなれば、地元経済に与えるインパクトは極めて大きいものがあります。その意味では、地元経済への貢献度を測る指標としては良いのかもしれません。しかし、かなり個人的な意見にはなりますが、企業の誘致というのはその土地に行かなければ別の土地に行くという性質のものです。すなわち、全体のパイは変わらず、限られたパイを市町村間で奪っているだけです。そのため、日本経済全体の視点から考えると、色々な解釈ができるのではないでしょうか。

選択ベンチマーク18

販路開拓支援を行った先数(地元・地元外・海外別)

(掲載率)

地元間については6割程度、地元外・海外については5割程度です。

(全体に占める割合など)

地元間のみですが、与信先に占める割合(数値は独自算出)では、最大値が1割強、平均が1%です。 

(寸評)

販路開拓は本業支援の中でももっともオーソドックスなものなので、与信先に占める割合の平均が1%というのはかなり低く感じます。

選択ベンチマーク19

M&A支援先数

(掲載率)

7割程度です。

(全体に占める割合など)

与信先に占める割合(数値は独自算出)では、最大値が3%、平均が0%です。 

(寸評)

この項目は銀行間によって非常に差が大きいものの一つです。掲載率が共通ベンチマークと同水準である7割に達していることから、どの銀行も大変重要視していることは分かります。一方で、そのためのノウハウは銀行間によって非常に大きく差があります。選択ベンチマーク21の事業承継支援先数とともに、地方銀行として今後も軽視はできないベンチマークでしょう。

選択ベンチマーク20

ファンド(創業・事業再生・地域活性化等)の活用件数

(掲載率)

3割弱です。

(最大や平均値)

最大値が二百程度、平均は10件台です。

(寸評)

地方銀行においては、まだファンドの活用は一般的ではないようです。しかし、融資以外の分野の収益を強化しなければならないという視点に立てば、ファンドの活用は大きな選択肢になりえるでしょう。

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※最大値、最小値、平均等の数値はH29.3の数値を用いています。

※上記内容は、以前別の屋号で書いたブログと同じ内容になります。