多額の個人資産のデメリット
プライドが再生を阻害
地方の中小企業の経営は逼迫しているところは多いです。一方で、地方の名士のような方は日本経済が停滞する以前に稼いだ時の貯えが多額にあります。そうするとどのようなことになるか。彼らは名士ですから非常にプライドが高い。そのため、今の業績が悪く、資金繰りが厳しくても簡単に銀行に頭を下げたりはしません。事業は赤字なのに、借入の返済と利息は支払うのです。返済原資は何でしょうか。もちろん個人資産です。そのため、地方の老舗企業は多額の役員借入金が計上されているケースが非常に多いのです。
個人資産も限りがある
しかし、言うまでもなく個人資産には限りがあります。すでに底を尽いてしまった会社もあるし、あと少しで尽きそうな会社もあります。底を尽いてようやく会社を閉めるわけですが、本来はその前に業績改善の手を打ったり、会社を閉じるにしてももっと早いタイミングの方が資産を垂れ流さないで済んだはずです。それができないのは、プライドが邪魔をしたせいです。地方における経営者の感情が及ぼす影響は表面には出てきませんが、意外に大きなファクターだったりします。
金融機関発で経営者の意識を変えていかなければならない
赤字会社だけれども返済は約定通りなされている。仮に返済原資が個人資産の投入だと分かっていても、このような会社に対して金融機関は問題があるとみなしません。そのため、経営者個人資産による赤字補填が続き、事業改善のきっかけが遅れてしまうのです。何度も繰り返し述べてているように、地方の名士でもあるような経営者はプライドが高い。彼らは自分からは金融機関に頭を下げてこない。ではどうすればよいかというと、金融機関側から彼らのプライドを尊重しながら経営改善のきっかけを打診するのです。経営者もこのままでは近い将来行き詰まるのは薄々分かっています。それでも何もしないのは、誰も何も言わないからです。きちんと状況を説明して、誠意をもって説得すれば、金融支援を伴うような経営改善計画(ある意味経営がうまくいかなかったことを示すもの)にも乗ってくるでしょう。まだ選択肢が残されている、今のうちに手を打つべきなのです。
地方経済の将来に果たす地方の名士・経営者の役割は非常に大きい。
彼らも心底では困っているのです。
声なき声を汲み取って、地元の将来に貢献しましょう。
※上記内容は、以前別の屋号で書いたブログと同じ内容になります。