努力不足を性格のせいにしていないか
食べてもらえばわかるとは言うけれど、、、
今日は東北の水産加工業者を訪問してきました。気になったのは次の言葉です。
「うちの商品は差別化が難しいからさ。店まで来て食べてもらえれば違いがすぐに分かってもらえるんだけど、価格面で大手に勝てないから売上が伸びないんだよね」
確かに材料仕入価格の大変な高騰もあって売上は低迷してたのですが、何か違和感がありました。その違和感の正体は、言葉のどこかに自分の努力不足を正当化する言い訳を感じたからです。
つまり、本当に商品に自信があって食べてもらえばリピーターになってくれるのであれば、食べてもらえるためにどうすればよいかに全力を尽くすべきではないか、ということですね。
少なくとも僕が見る限り、販路を広げる努力は一生懸命頑張っているのですが、その商品の魅力を掘り下げたり、伝わるための工夫をしたりするなど、客が買いたくなる、食べたくなるような方向の努力をしているようには感じられなかったのです。
自社の商品の魅力がどうずれば伝わるか、本当に考えているか
僕が数多くの中小企業を見て一番感じることはこの部分ですね。すごくいいモノを持っているのに、決定的にアピール不足なんですよ。だから、経営が苦しい事業者はまずどうすれば商品の魅力を伝えることができるかを徹底的に考えた方が業績向上の近道なんじゃないかと思うのです。その結果、うまく商品ストーリーやアピールポイントをクリアにできたらそれを前面に出して営業すればよいのです。違いは相手に伝わります。いずれ成果は出るでしょう。
一方、そこで商品の魅力が何も浮かばなかったらどうでしょう。それは、自信を持っていた商品が実はそれほど実力がなかったという可能性を示唆することになります。これはこれで、等身大の実力を認めるということで非常に大事なプロセスです。
一番まずいのは現状と経営者の認識がずれていることですから。ずれていたら正しい打ち手を取りようがありません。問題認識と打ち手という因果関係が整合していないからですね。
商品に実力がないのが真実だと分かれば、そこから魅力的な商品を作っていくのか、それとも商品以外の部分で勝負するのかなど正しい打ち手を考えることができます。
いずれにせよ、まずは自社の商品の魅力がどうずれば伝わるかを考えるのが出発点です。
アピールは得意不得意の問題ではない
さて、この点日本人、特に地方の高齢の方はアピールするのが非常に苦手な方が多いという印象があります。よく言えば職人肌というか、いいものを作れば黙っていても売れるという思想が心のどこかにいまだに残ってるのですね。さすがにこのご時世、手をこまねいていてはいけないという気持ちもあるようですが、やはりアピールを積極的にするには二の足を踏んでいる事業者が多く感じます。そういうことが得意でないと仰るのですね。
しかし、この期に及んでは得意不得意の問題ではないでしょう。それはもはや、経営者として欠かせない仕事の一つです。日本人は謙虚が美徳とされていますから、ほとんどの日本人が本来はアピールが心情的に苦手のはずです。しかし、そうは言ってられない状況なので、うまくいっている会社はどこも頑張ってアピールしているのですね。そのため、アピールしていないのを得意不得意や性格のせいにしてはいけないのです。
自社の商品が本当に良いと思うのであれば、その良さをもっと多くの人に体験してもらいたいと思うのも自然な心情でしょう。
こういう視点があれば、アピールすることへの抵抗もなくなるのではないでしょうか。
※上記内容は、以前別の屋号で書いたブログと同じ内容になります。