金融仲介機能のベンチマークを地域ごとに見る~第19弾:鳥取県編~
1.鳥取県の地銀
鳥取県は一次産業が盛んです。特産品としては、スイカ、松葉ガニ、らっきょう、二十世紀梨などが有名です。
鳥取県には第一地銀である鳥取銀行があります。地方銀行は一行のみです。
主要指標は下記表のとおりです。
鳥取銀行 | |
経常収益(H29.3) | 15,834百万円 |
コア業務純益(H29.3)*1 | 1,202百万円 |
修正OHR(H29.3)*2 | 90.1% |
経常損益(H29.3) | 1,931百万円 |
自己資本比率(H29.3)*3 | 9.6% |
従業員(直近) | 719名 |
県内貸出シェア(H28.3) | 39% |
*2 経費÷業務粗利益で算出。効率性を示す指標で低い方が良い。地銀の加重平均値は70.3%
*3 国内基準。国内基準では4%以上が義務付けられている。
2.金融仲介機能のベンチマーク項目
では、具体的に同ベンチマークの項目を見てきます。
(なお、項目の詳細な異同については末尾の(参考)に記載しておりますので必要に応じてご参照ください)
共通ベンチマークは5つ掲載しています。
選択ベンチマークは11項目です。主要な項目は網羅されています。経営者保証ガイドラインの活用数があるのはよいのですが、担保・保証に依存しない融資関連でいえば、経営者保証だけでなく信用保証協会や担保にかかるベンチマークも欲しかったですね。
独自ベンチマークはありません。
3.定性面
鳥取銀行の中期経営計画(平成27年度~平成29年度)は「考動と開革Ⅱ 27-29」です。基本方針は「地方創生への積極的な関与」「お客さま満足度の向上」「地域と当行の将来を担う人材の育成」といったもので、具体的な戦略も含めオーソドックスな内容です。
金融仲介機能のベンチマークは、地域密着型金融の取り組みを充実させるために客観的に自己評価するためのツールとしています。見せ方としては、主要テーマごとに具体的な取り組みと併せて掲載するという方法で、よくある方法ながらも分かりやすい方法です。但し、独自ベンチマークがなかったので、地域特性を踏まえたベンチマークを設定すればなおよかったのではないでしょうか。
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(※1)金融仲介機能のベンチマークについては、2017年5月13日のコラムで説明しております。
(参考)
(1)掲載ベンチマーク
共通ベンチマーク
1 金融機関がメインバンク(融資残高1位)として取引を行っている企業のうち、経営指標(売上・営業利益率・労働生産性等)の改善や就業者数の増加が見られた先数(先数はグループベース。以下断りがなければ同じ)、及び、同先に対する融資額の推移
2 金融機関が貸付条件の変更を行っている中小企業の経営改善計画の進捗状況
3 金融機関が関与した創業、第二創業の件数
4 ライフステージ別の与信先数、及び、融資額(先数単体ベース)
5 金融機関が事業性評価に基づく融資を行っている与信先数及び融資額、及び、全与信先数及び融資額に占める割合(先数単体ベース)
選択ベンチマーク
1 全取引先数と地域の取引先数の推移、及び、地域の企業数との比較(先数単体ベース)
2 メイン取引(融資残高1位)先数の推移、及び、全取引先数に占める割合(先数単体ベース)
5 事業性評価の結果やローカルベンチマークを提示して対話を行っている取引先数、及び、左記のうち、労働生産性向上のための対話を行っている取引先数
11 経営者保証に関するガイドラインの活用先数、及び、全与信先数に占める割合(先数単体ベース)
12 本業(企業価値の向上)支援先数、及び、全取引先数に占める割合
13 本業支援先のうち、経営改善が見られた先数
16 創業支援先数(支援内容別)
19 M&A支援先数
21 事業承継支援先数
39 取引先の本業支援に関連する研修等の実施数、研修等への参加者数、資格取得者数
42 地域経済活性化支援機構(REVIC)、中小企業再生支援協議会の活用先数
独自ベンチマーク
なし
(2)金融仲介機能のベンチマーク
鳥取銀行(平成29年5月12日公表)
(3)中期経営計画
鳥取銀行(平成27年度~平成29年度)
(4)各行における指標の引用元
基本的には各行のWebサイトより引用しています。修正OHRについては「月刊 金融ジャーナル2017 9月号」より引用しています。貸出シェアについては適宜情報が掲載されている各種サイトより引用しています。
※上記内容は、以前別の屋号で書いたブログと同じ内容になります。