栃木県の信金・信組の頑張り~第一弾:大田原信用金庫(だいしん)~
これから栃木県内の信用金庫・信用組合の紹介をしていきます。
ただ紹介をするだけでもつまらないので、地元に根差した信金・信組がどのような取り組みをしているか、どのように地元に貢献しているかをメインに書いていく予定です。
第一弾は大田原信金です。
(1)営業エリア
大田原市を中心に、矢板市、那須塩原市、那須郡那須町、さくら市、 塩谷郡塩谷町、福島県白河市の全9店舗を有しています。
(2)経営計画
第5次中期経営計画<コ・クリエーション2021~地域密着型金融の進化×深化~(2018年4月から2021年3月)>では地域密着型金融の推進により、地域から真に必要とされる金融機関を目指すとあります。地域密着型金融は第4次中期経営計画から引き続いているテーマです。
(3)取り組み
上記計画に基づいて様々な施策を実施しています。販路拡大支援として商談会への協賛や出展支援をしたり、経緯改善支援として経営改善計画書を作成するなどしています。ほかにも栃木県信用保証協会や栃木県よろず支援拠点などと連携し、経営相談や経営改善に取り組んでいます。また、事業承継やM&Aの支援も行っています。
面白いところでは、地域の将来を担うこどもたちのための支援として4市町村の図書館に「だいしん文庫」として5百万円の寄付を行っています。
(4)金融仲介機能のベンチマーク
金融仲介機能のベンチマーク(注1)としては下記の項目を掲載しています。以下、各項目について簡単にコメントしていきます。
共通ベンチマーク
1 金融機関がメインバンク(融資残高1位)として取引を行っている企業のうち、経営指標(売上・営業利益率・労働生産性等)の改善や就業者数の増加が見られた先数(先数はグループベース。以下断りがなければ同じ)、及び、同先に対する融資額の推移
→メイン取引先数が161社、メイン取引先に対する融資額が80億円ですが、うち経営指標改善先が各160先、78億円となっています。つまり、同庫のメイン先のほとんどが経営改善しているということです。
2 金融機関が貸付条件の変更を行っている中小企業の経営改善計画の進捗状況
→条件変更先が215先ですが、うち185先が不調先となっています。条件変更が必要な会社は業績が厳しためですが、条件変更後も思うように業績が改善せず、苦しい状況が続いていることがわかります。
3 金融機関が関与した創業、第二創業の件数
→創業支援が25件、融資額が194件です。創業はいずれの地方も欠かせない重要テーマですので引き続き頑張ってほしいですね。
4 ライフステージ別の与信先数、及び、融資額(先数単体ベース)
→全775先の与信先のうち、低迷期75先、再生期167先となっています。つまり、約3分の一の先が思わしくないという状況です。今後もっと増える可能性があるので力を入れていきたい分野です。
選択ベンチマーク
11 経営者保証に関するガイドラインの活用先数、及び、全与信先数に占める割合(先数単体ベース)
→新規無保証融資件数471件、新規融資に占める経営者保証に依存しない融資割合18.2%です。この項目は地方銀行でも公表していないことが多いので、当庫が注力している証拠となるでしょう。
16 創業支援先数(支援内容別)
→創業融資のうち、プロパー融資5件、保証協会付き融資20件です。創業融資はリスクが高いので保証協会付き融資が多くなるのはやむを得ないでしょう。
18 販路開拓支援を行った先数(地元・地元外・海外別)
→地元間16件、地元外11件です。内容は前述した取り組みにあるようなものです。販路開拓は比較的取り組みやすく、経営者にも喜んでもいやすいものなので引き続き力を入れてほしいですね。また、同じく成果が得やすい取り組みとしてビジネスマッチングがあります。信金は地元に密着している分、事業者への理解が深い場合が多いため、ビジネスマッチングがしやすい面がありますのでこちらも向上の余地があるのではないでしょうか。
42 地域経済活性化支援機構(REVIC)、中小企業再生支援協議会の活用先数
→栃木県中小企業再生支援協議会と2件連携しています。栃木県の中小企業再生支援協議会は全国でも屈指の件数を有しているため、積極的に活用してほしいですね。
44 取引先の本業支援に関連する他の金融機関、政府系金融機関との提携・連携先数
→栃木県よろず支援拠点9先、栃木県事業引継ぎ支援センター4件です。後者については、地元密着の信金ならではの事業者との信頼関係があると思いますので、積極的に事業承継支援を行っていってほしいですね。
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(※1)金融仲介機能のベンチマークについては、2017年5月13日のコラムで説明しております。
※上記内容は、以前別の屋号で書いたブログと同じ内容になります。