担当者が無資格だと不安ですか?
アンケートで多い不満の一つ
税理士交代をした理由のアンケートがあるのですが、その理由の一つに担当者が無資格者だということが挙げられます。
やはり、税理士の資格を持った担当者に対応してほしいと思う事業者が多いようです。
一見もっともな不満ですが、果たしてこれは当たっているのでしょうか。
無資格者だと不安になる理由
まず、なぜ税理士資格を保有していない担当者だと不安になるのでしょうか。
それは、無資格の担当者は正規の税務知識が不足しており、間違った指導をされるのではないかという不安だと思います。
これは当たっている部分もあります。
確かに税理士試験は難関資格ですので、試験に合格するまでに相当量の勉強を法人税法・所得税法といった税目ごとに勉強します。
そのため、税理士資格を保有している担当者であれば、受験で学ぶ最低限の知識は皆持っており、この点では担当者ごとのばらつきは少ないのは事実です。
資格よりも、経験値
一方で、それで全く問題ないかというとそんなことはありません。
というのも、実務で必要となる知識、つまりお客様に役立つような知識は受験勉強ではあまり学ばず、大部分は実務の経験を通じて学ぶからです。
ということは、税理士資格を持っていたとしても合格したてで実務の経験があまりなければお客様に役立つようなアドバイスは難しくなります。
逆に、税理士資格を持っていなかったとしても、経験豊富な担当者であれば下手な税理士よりも知識が豊富な場合もあります。
この点、多くの税理士事務所はパートの女性を雇っていますが、長年勤めている方が多く、経験豊富なケースが多いです。
実際、私が以前勤務していた税理士法人も大手でしたが、長年勤めている無資格の方は非常に大きな戦力であり、お客様からの信頼も絶大なものがありました。
もちろん、正規の受験を通過したわけではないので難しい税務論点についても常に正確な回答が出せるというわけではありませんが、そのようなケースでは事務所に戻ってより知識の豊富な資格者に相談した上で回答しています。
資格が有効な場合
余談ですが、税理士資格が有用な場合もあります。
銀行へ営業へ行く場合や、セミナーの講師をする場合です。
この場合はこちらのことを全く知らない相手に短時間で信頼してもらわなければならないため、税理士という肩書きが必要になります。
しかし、長い時間をかけて信頼関係を構築するような税務顧問のようなケースでは税理士資格の有無はあまり重要ではありません。
それよりも重要なのは、その担当者の人間性です。
例えば、頼んだことを責任感を持って対応してくれるか、わからないことを口から出まかせでごまかしてはいないか、レスポンスは常識の範囲内のタイミングでしているかなどです。
現担当者に不満がないなら無資格でも問題なし
結論としては、今の担当者が無資格であったとしても現在の仕事ぶりに不満がないなら問題ありません。
逆に、責任感の欠如など人間的に大きな不満があるのであればクレームを入れても良いでしょう。
お客様からのクレームにより担当者が交代するケースを何度か見てきましたが、そのほとんどは知識不足というよりは基本的な責任感の欠如でした。
このような場合は税理士事務所側も問題として感じているので、すぐに対応してくれるはずです。
大切なことは、税理士資格といった形式的な面だけで判断せずに、その担当者の人間を見て判断するということです。