印紙税が必要な場合と注意点
目次
概要
印紙税は、経済取引に伴って作成する契約書や領収書など特定の文書に課税される税金です。課税される文書については第1号から第20号まで規定されていますが、中小企業の日常取引については不動産譲渡等の契約書(第1号)、請負に関する契約書(第2号)、継続取引の基本となる契約書(第7号)、金銭又は有価証券の受取書(第17号)文書の4つについて押さえておけばよいでしょう。
印紙が必要なケース
領収書
こちらは金銭又は有価証券の受取書(第17号文書)に該当します。5万円以上の領収書について200円以上の印紙が必要です。
売上代金 | 印紙税額 |
5万円未満 | 非課税 |
~100万円以下 | 200円 |
~200万円以下 | 400円 |
~300万円以下 | 600円 |
~500万円以下 | 1,000円 |
~1,000万円以下 | 2,000円 |
~2,000万円以下 | 4,000円 |
~3,000万円以下 | 6,000円 |
~5,000万円以下 | 10,000円 |
~1億円以下 | 20,000円 |
~1億円超 | 割愛 |
契約書
不動産売買契約書、土地賃貸契約書、金銭消費貸借契約書
これらは不動産譲渡等の契約書として第1号文書に該当します。記載された契約金額が1万円以上の場合に印紙税がかかります。
契約金額 | 印紙税額 |
1万円未満 | 非課税 |
~10万円以下 | 200円 |
~50万円以下 | 400円 |
~100万円以下 | 1,000円 |
~500万円以下 | 2,000円 |
~1,000万円以下 | 10,000円 |
~5,000万円以下 | 20,000円 |
~1億円以下 | 60,000円 |
~1億円超 | 割愛 |
なお、上記表のうち不動産の譲渡に関する契約書については作成された日付により印紙税が軽減されています。
工事請負契約書、物品加工注文請書
これらは請負に関する契約書として第2号文書に該当します。記載された契約金額が1万円以上の場合に印紙税がかかります。なお、上記以外にもホームページ制作契約書、デザイン制作契約書、コンサルティング契約書(成果物あり)、顧問契約書(成果物あり)が該当します。
契約金額 | 印紙税額 |
1万円未満 | 非課税 |
~100万円以下 | 200円 |
~200万円以下 | 400円 |
~300万円以下 | 1,000円 |
~500万円以下 | 2,000円 |
~1,000万円以下 | 10,000円 |
~5,000万円以下 | 20,000円 |
~1億円以下 | 60,000円 |
~1億円超 | 割愛 |
なお、上記表のうち建設工事の請負に係る契約の一部については作成された日付により印紙税が軽減されています。
売買取引基本契約書、特約店契約書、業務委託契約書、銀行取引約定書
これらは継続取引の基本となる契約書として第7号文書に該当します。契約期間が3ヶ月を超える場合、記載金額に関わらず、一律4,000円の印紙税がかかります。上記以外にも、コンサルティング契約書(成果物なし)、顧問契約書(成果物なし)が該当します。
注意点
基準となる金額
その文書にいくらの金額が記載されているかで判断します。消費税を含めるか否かについては、税抜き金額が明確であれば税抜き金額が記載金額となります。
複数あっても全部課税
同じ内容が書かれている文書が複数あったとしても、課税文書の要件を満たせば印紙税が課税されることになります。
建物の賃貸契約書には印紙不要
建物の賃貸契約書には印紙税はかかりません。
土地の賃貸契約書は賃料ではなく権利金等
土地の賃貸契約書には印紙税がかかりますが、対象となるのは権利金や名義変更料、更新料などです。そのため、土地の賃料、保証金、敷金には印紙税はかかりません。
請負か委任か
請負契約になるか委任契約になるかは重要です。まず、請負契約になる場合は第2号文書として上述したような印紙税がかかります。請負契約になるか委任契約になるかの違いは、成果物が明確に定められている契約が請負契約、そうでないものは委任契約となります。委任契約の場合は基本的に印紙税はかかりませんが、第7号文書に該当する場合は一律4,000円の印紙税がかかります。契約期間が3ヶ月を超える場合は第7号文書に該当します。
金額の記載がない場合
記載のない1号又は2号文書は200円の印紙税がかかりますが、このうち7号文書の要件を満たすものは7号文書として4,000円の課税がされます。
時効
印紙税も含めた国税の徴収権は5年が時効です。課税文書を作成した時から5年が過ぎたら時効になります。
消印して有効
消印とは収入印紙を貼った際、印紙と文書にまたがって印を押すことです。消印を忘れると収入印紙を貼ってないことにされ、収入印紙と同じ額の過怠税が課されるので注意しましょう。
まとめ
・中小企業は不動産譲渡等の契約書(第1号)、請負に関する契約書(第2号)、継続取引の基本となる契約書(第7号)、金銭又は有価証券の受取書(第17号)文書の4つを押さえる。
・領収書は5万円以上(第17号)、不動産譲渡等の契約書(第1号)、請負に関する契約書(第2号)は1万円以上から段階的に、継続取引の基本となる契約書(第7号)は一律4,000円の印紙税がかかる。
・請負契約か委任契約かによって印紙税の金額が変わる。
・消印しないと収入印紙とと同額の過怠税が課される。