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金融仲介機能のベンチマークを項目ごとに見る ~第七弾:選択ベンチマーク26-30~

前回に引き続き、金融仲介機能のベンチマークを各々のベンチマークごとに見ていきます。

選択ベンチマーク26

事業清算に伴う債権放棄先数、及び、債権放棄額 

(掲載率)

両者一桁台です。

(最大や平均値)

債権放棄先数では、最大値が40程度、平均が10強です。

債権放棄額では、最大値が20億円程度、平均が10億円程度です。

(寸評)

選択ベンチマーク22の転廃業支援先数と同様、これらはまだまだ低い水準です。掲載率が低いことからも、ほとんどの銀行においてあまり重視していないことが分かります。しかし、地方経済の実態を正面から認めるのであれば、今後の増加は避けられない項目です。

選択ベンチマーク27

リスク管理債権額(地域別)

(掲載率)

2%です。

(最大や平均値)

当該項目は、債権種別(3か月以上延滞・貸出条件緩和・延滞債権・破綻債権)ごとに、各地域で何億円あるかを示すものです。そのため、最大値は平均値といった数値になじまないため、省略します。

(寸評)

リスク債権は減少するのが一般的には良いと言えます。しかし、減少の理由として、景気の回復なのか、銀行の努力なのかは一概に言えません。そのため、この指標をどのように解釈するかは中々難しい面があるでしょう。

選択ベンチマーク28

中小企業に対する経営人材・経営サポート人材・専門人材の紹介数(人数ベース)

(掲載率)

1割程度です。

(最大や平均値)

最大値が700人強、最小値が二人、平均が百人弱、中央値が十人程度です。平均と中央値で差があることからも分かるように、最大値が平均を押し上げています。

(寸評)

最近、金融機関向け監督指針の改正において、銀行が取引先に対して人材紹介業務を担えることになった記事が話題になりました。このような流れからは、今後ある程度増加すると予想されます。

選択ベンチマーク29

28の支援先に占める経営改善先の割合 

(掲載率)

1行のみです。

(最大や平均値)

1行しかありませんが、64%です。

(寸評)

母集団が少ないため、実際に経営人材を紹介した効果がどの程度なのかは不明です。しかし、やはり人材を紹介する以上、どの程度の先で経営改善に繋がったのかも併せて掲載した方が良心的です。

選択ベンチマーク30

金融機関の本業支援等の評価に関する顧客へのアンケートに対する有効回答数 

(掲載率)

1行のみです。

(最大や平均値)

1行しかありませんが、10件です。

(寸評)

アンケートを実施すること自体に抵抗のある銀行も多いでしょうし、実施したとしても取引先の本音を得られるには一筋縄ではいかない可能性があります。それを差し引いたとしても、銀行のサービスの質を高める上では直接的な方法です。よって、他行も積極的に取り組み、掲載してほしいですね。

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※最大値、最小値、平均等の数値はH29.3の数値を用いています。

※上記内容は、以前別の屋号で書いたブログと同じ内容になります。