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先端設備等導入計画のガイド

01.概要

先端設備等導入計画は中小企業等経営強化法に規定された、中小企業が、設備投資を通じて労働生産性の向上を図るための計画です。この計画は、新たに導入する設備が所在する市町村が国から導入促進基本計画の同意を受けている場合に、中小企業者が認定を受けることが可能です。認定を受けた場合は税制支援などの支援措置を活用することができます。

02.検討したい会社

事業再構築補助金の申請を検討している会社

事業再構築補助金は補助額が大きく、大きな投資がなされる可能性があります。この結果、最新の設備を購入することもあるでしょう。それが先端設備等導入計画の要件に合致していれば、事業再構築補助金を受領し、かつ先端設備等導入計画の税制措置についても両方を受けることができます。そのため、事業再構築補助金の申請を予定している会社は先端設備等導入計画についても健闘しても良いでしょう。

最新の設備購入を検討している会社

先端設備等導入計画では生産性の向上等が要件とされています。この点、最新の設備は要件を満たしている可能性が高いと言えるでしょう。また、そのような設備は通常高額になることが多いです。そのため、それにかかる固定資産税も多額になる可能性が高くなります。そのため、先端設備等導入計画認定のメリットである固定資産税軽減効果が大きくなります。以上のことから、最新の設備購入を検討している会社は本計画の申請を検討した方が良いでしょう。

03.メリット

Ⅰ税制優遇

令和4年度末までの期間内に、認定された先端設備等導入計画に基づき一定の設備を新規取得した場合、その設備に係る固定資産税の課税標準が3年間ゼロ~1/2に軽減されます。

対象設備は、機械装置(160万円以上/販売開始時期10年以内)、工具(30万円以上/5年以内)、器具備品(30万円以上/6年以内)、建物附属設備(60万円以上/14年以内)、構築物(120万円以上/14年以内)である必要があります。その他、事業用家屋については、取得価額の合計額が300万円以上の先端設備等とともに導入されたものに限られます。

Ⅱ金融支援

信用保証の別枠

信用保証協会による債務保証の範囲が拡充されます。具体的には、通常枠(普通保証2億円、無担保保証8,000万円)とは別に、別枠(普通保証2億円、無担保保証8,000万円)が設けられます。

04.注意点

先端設備には要件がある

下記の二つの要件を満たす必要があります。

要件1:一定期間内に販売されたモデル(最新モデルである必要はありませんが、中古資産は対象外

要件2:生産性の向上に資するものの指標(生産効率、精度など)が旧モデルと比較して年平均1%以上向上している設備

認定支援機関による事前確認が必須

認定支援機関に予め計画の確認を受けて市町村に申請する必要があります。

税制措置を受ける場合、工業会証明書が必要が必要

先端設備の要件1,2について工業会等から証明書を取得する必要があります。具体的には、設備メーカーに証明書の発行を依頼し、設備メーカーが工業会等に証明書発行申請するという流れになります。

税制措置を受ける場合、スケジュールに注意

設備を取得し税制優遇を受けるには、先端設備等計画の認定を受けた後に対象設備を取得するのが必須の流れになります。計画から認定までの標準処理期間は約30日とされています。そのため、他の計画と同様にスケジュールに余裕を持って準備することが大切です。経営力向上計画のように、設備取得後に計画申請を認める特例はありません。ただし、認定前までに工業会の証明書が取得できなかった場合でも、賦課期日(1月1日)までに誓約書および工業会証明書を追加提出することで税制措置を受けることが可能です。

05.分量と記載項目

記載の分量はA4縦3~5ページ程度です。記載項目は以下になります。

1 名称等

2 計画期間

3 現状認識

 (1)自社の事業概要

 (2)自社の経営状況(財務状況や改善すべき項目)

4 先端設備等導入の内容

 (1)事業の内容及び実施時期(具体的な取組内容、将来の展望)

 (2)先端設備等の導入による労働生産性向上の目標(現状、計画終了時の目標)

 (3)先端設備等の種類及び導入時期

  ・直接当該事業の用に供する設備として取得する設備の概要(設備名・型式、導入時期、所在地、設備等の種類、単価、数量、金額等)

5 先端設備等導入に必要な資金の額及びその調達方法

06.費用の相場

10万円から20万円程度が相場です。

07.まとめ

先端設備等導入計画は比較的ボリュームが少ないにも関わらず、固定資産税の軽減が受けられます。固定資産税は法人税等と違い、所得がマイナスでも毎年一定額を払わなければならないので会社の負担が重い税金です。これがゼロから1/2まで減るのは大きいでしょう。また、事業再構築補助金を申請する予定であり、同補助金で購入予定の資産が先端設備等導入計画の要件も満たすのであれば、本計画書は事業再構築補助金で作成した計画書をベースに作成すれば手間が軽減されます。以上のようなメリットを受けられる会社は同計画を検討しても良いでしょう。

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