経営を深め、相談する場

小規模事業者はどのような戦略を取るのがよいか

小規模事業者の状況は厳しいけれど、、、

中小企業と一括りにされることが多いけど、実際には売上数十億円の中堅企業と1億円未満の小規模事業者ではその性質は全く違いますよね。一般的には、中堅企業の方が資金も信用力も人員も余裕がって、取りうる打ち手が複数あって有利と思われることが多いんじゃないかと思います。実際問題として、M&Aや事業承継もある程度の規模がないと仲介や支援する側の費用対効果が成り立たないので、小規模事業者は非常に厳しい状況であるという現実はあると思うんです。でも、だからこそ小規模事業者はどうすれば生きていくことができるかという視点を考えていくことはとても大切だと思うんです。この国にとってものすごく重要であるにもかかわらず、まだ誰もこれといった答えを導き出していないわけですから。

ですからこのコラムでも不定期でも継続的に考えを発信できたらいいなと思います。

まず、思いつくままに小規模事業者にとって大事だと思う視点について書いていきます。

損益構造の把握

小規模事業者にとってまず大事だなと思う視点は、利益を稼ごうという視点よりも赤字にならないという視点です。ニュアンスとしては、攻めよりも守りということですね。なぜこのような視点が大事かというと、小規模事業者の財務状態は大変に脆弱なので、ちょっとしたことですぐ資金的に行き詰るためです。そのため、多少のリスクをとって大きな利益を稼ごうとする姿勢は非常に危険なのですね。だから、いかに赤字を計上しないか、事業を継続していくか、堅実に経営する姿勢が大切になるのです。そして、このような姿勢の具体的な表れとして大切なことが自社の損益構造の把握です。こういうと何やら大げさに聞こえますが、要は売上の中身はどれで、そのうちの費用の内訳はどうなっているかをおおざっぱでも把握できているということです。大企業や中堅企業でこれをしようとすると非常に大変です。そのような会社では原価管理用のシステムを入れ、複雑な計算をして費用の配賦をしたりします。けれど、小規模事業者の事業の構造は非常にシンプルなので、経営者のやる気さえあれば簿記の知識すらほとんどいらないのではないかと思います。けれどそれが分からない経営者は多いのです。知ろうとしないからです。これは非常にもったいないので、まずはともかく自社の損益の中身を正確に把握してほしいと思います。ほとんどの場合、これをすれば打ち手も自ずと決まってくる場合がほとんどでしょう。

経営者の一存で大きな変化をもたらせる

これは小規模事業者の強みでもあるのですが、意思決定構造が非常にシンプルです。文字通り、経営者が動こうと思ったらその瞬間にすべてが決まるのです。損益構造で述べたこととも関係しますけど、課題だと思ったことを変えようと思ったら、そのイメージがそのまま現実になってきます。この意味で非常に大きな可能性があるといえます。好きなだけ試行錯誤を積み重ねることができるということですね。

ニッチ(隙間)を攻めやすい

ニッチ市場を狙ううえで必要な注意点は十分な需要が見込めない可能性が高いという点です。これはそのまま大手が狙ってこない理由にもなりますので、小規模事業者にとっては有利な点になります。つまり、需要は少ないけれども、小規模事業者であれば問題なく吸収できる可能性が高いということですね。また、経営者の一存で大きな変化をもたらせるという点は差別化も図りやすいことに繋がりますが、これもニッチを攻めやすい理由の一つになります。

楽しもう!

小規模事業者であれば、一般的な話として利害関係者は少なくなり、しがらみが少なくなります。その結果、自分の嗜好や思いを優先させやすくなります。この点、想定される反論としては財務が脆弱な小規模事業者だからこそ、嫌な仕事や嫌な取引相手とでも仕事をしなければならないという反論が返ってくるかもしれません。しかし、昔はともかく現代はそのリスクは少ないのではないかと思います。というのも、現代はフラットな時代だからです。昔は情報の受信・発信ともに限られていて、ある支配的なやり方・様式が通用したのではないかと思います。そのため、そこから外れたやり方をしても潰されたりうまくいかなかったりしたのではないでしょうか。しかし、今では情報の拡散具合が昔とは比較にならないくらい進んでいます。この結果、多様なやり方が通用する可能性が高まっているのではないかと思うのですね。つまり、自分なりに楽しめるやり方を考え出したとします。現代ではそのやり方を広く発信できるので、情報の受け手の母集団が大きくなり、そのやり方を受け入れられる人も多い可能性が高いということです。自分の好きなやり方を受け入れてもらえるのって、すごく楽しいと思うんです。

小規模事業者だからと悲観することはありません。

小規模事業者ならではの強みもまたあります。

考え方次第で将来の見通しがらりと変わることは真実です。

※上記内容は、以前別の屋号で書いたブログと同じ内容になります。