持続化補助金〜申請のガイド〜
目次
1.持続化補助金の内容
概要
持続化補助金は、中小企業が取り組む地道な販路開拓や業務効率化などを補助する支援制度です。補助額はあまり多額ではありませんが、その分申請書のボリュームも多くなく、中小企業の方にとっては利用しやすい補助金です。販路開拓や業務効率化等幅広く補助の対象になるのが特徴です。一般型と低感染リスク型ビジネス枠の二種類あり、後者はコロナ禍に対応する取り組みにも補助が出ます。
採択率
通常枠の第4回締め切りの採択率は約44%、低感染リスク型ビジネス枠の第1回締め切りの採択率は約45%となっています。
公募期間
一般型
第5回受付締切:2021年10月 1日(金)
第6回受付締切:2022年 2月 4日(金)
第7回受付締切:未定
低感染リスク型ビジネス枠
第3回受付締切:2021年 9月 8日(水)
第4回受付締切:2021年11月10日(水)
第5回受付締切:2022年 1月12日(水)
第6回受付締切:2022年 3月 9日(水)
補助額・補助率
一般型
補助上限:50万円 ※産業競争力強化法に基づく「認定市区町村による特定創業支援等事業の支援」を受けた小規模事業者については、補助上限額が100万円
補助率:2/3
低感染リスク型ビジネス枠
補助上限:100万円
補 助 率:3/4
要件
一般型
持続的な経営に向けた経営計画に基づく、小規模事業者等の地道な販路開拓等の取組や、あわせて行う業務効率化の取組
低感染リスク型ビジネス枠
ポストコロナを踏まえた新たなビジネスやサービス、生産性プロセスの導入等に取り組み、感染拡大防止のための対人接触機会の減少と事業継続を両立させる投資を行う事業
取組事例
一般型
販路開拓等の取組
新商品を陳列するための棚の購入/新たな販促用チラシの作成、送付/新たな販促用PR(マスコミ媒体での広告、ウェブサイトでの広告)/新たな販促品の調達、配布/ネット販売システムの構築/国内外の展示会、見本市への出展、商談会への参加/新商品の開発/新商品の開発にあたって必要な図書の購入/新たな販促用チラシのポスティング/国内外での商品PRイベントの実施/ブランディングの専門家から新商品開発に向けた指導、助言/新商品開発にともなう成分分析の依頼/店舗改装(小売店の陳列レイアウト改良、飲食店の店舗改修を含む。)
業務効率化等の取組
業務改善の専門家からの指導、助言による長時間労働の削減/従業員の作業導線の確保や整理スペースの導入のための店舗改装/新たに倉庫管理システムのソフトウェアを購入し、配送業務を効率化する/新たに労務管理システムのソフトウェアを購入し、人事・給与管理業務を効率化する/新たに POS レジソフトウェアを購入し、売上管理業務を効率化する/新たに経理・会計ソフトウェアを購入し、決算業務を効率化する
低感染リスク型ビジネス枠
対人接触機会を減らすための機械装置の導入費用/移動販売車両の購入費用等の事業の遂行に必要な機械装置等の購入に要する経費
対象経費
一般型
①機械装置等費、②広報費、③展示会等出展費、④旅費、⑤開発費、⑥資料購入費、⑦雑役務費、⑧借料、⑨専門家謝金、⑩専門家旅費、⑪設備処分費、⑫委託費、⑬外注費
上記項目のうち、下記要件の全てを満たしたもののみが対象となります。
・使用目的が本事業の遂行に必要なものと明確に特定できる経費
・交付決定日以降に発生し対象期間中に支払が完了した経費
・証拠資料等によって支払金額が確認できる経費
低感染リスク型ビジネス枠
①機械装置等費、②広報費、③展示会等出展費(オンラインによる展示会等に限る)、④開発費、⑤資料購入費、⑥雑役務費、⑦借料、⑧専門家謝金、⑨設備処分費、⑩委託費、⑪外注費、⑫感染防止対策費
上記項目のうち、下記要件の全てを満たしたもののみが対象となります。
・補助対象経費の全額が対人接触機会の減少に資する取組であること(⑫を除く)
・使用目的が本事業の遂行に必要なものと明確に特定できる経費
・原則、交付決定日以降に発生し対象期間中に支払が完了した経費
・証拠資料等によって支払金額が確認できる経費
・申請する補助対象経費については具体的かつ数量等が明確になっていること
計画書の記載内容
一般型
経営計画
企業概要/顧客ニーズと市場の動向/自社や自社の提供する商品・サービスの強み/経営方針・目標と今後のプラン
補助事業計画
補助事業名/販路開拓等(生産性向上)の取り組み内容/業務効率化(生産性向上)の取り組み内容(任意)/補助事業の効果
なお、分量は経営計画及び補助事業計画を併せ最大8枚程度(各最大4枚程度)です。
低感染リスク型ビジネス枠
経営計画
自社の事業概要/新型コロナウイルス感染症の影響・既に取り組んでいる対策
補助事業計画
補助事業名/補助事業の内容/補助事業の効果
なお、分量は経営計画及び補助事業計画を併せ最大5枚までです。
加点要素
一般型
1.賃上げ加点(いずれか一つ)
①給与支給総額増加:
補助事業完了後の1年間において、給与支給総額を1年で1.5%以上増加させる計画を有し、従業員に表明していること(被用者保険の適用拡大の対象となる小規模事業者が制度改革に先立ち任意適用を受けている場合は、1年で1%以上増加させる計画)。
②給与支給総額増加:
補助事業完了後の1年間において、給与支給総額を1年で3.0%以上増加させる計画を有し、従業員に表明していることと(被用者保険の適用拡大の対象となる小規模事業者が制度改革に先立ち任意適用を受けている場合は、1年で2%以上増加させる計画)
③事業場内最低賃金引き上げ:
補助事業完了から1年後、事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準にする計画を有し、従業員に表明していること。
④事業場内最低賃金引き上げ:
補助事業完了から1年後、事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+60円以上の水準にする計画を有し、従業員に表明していること。
2.事業承継加点
基準日時点の代表者の年齢が満60歳以上の事業者で、かつ、後継者候補の者が補助事業を中心になって行うとして、経営計画(事業承継の計画)を記載していること。
3.経営力向上計画加点
基準日までに経営力向上計画の認定を受けていること
低感染リスク型ビジネス枠
1.緊急事態措置による影響加点
緊急事態措置に伴う飲食店の休業・時短営業又は不要不急の外出・移動の自粛により、特に大きな影響を受けたことから、その影響の原因となった緊急事態措置が実施された月のうち、いずれかの月の月間事業収入が2019年又は2020年の同月と比較して30%以上減少していること
2.多店舗展開加点
複数の店舗・事業所を有しており、かつ、各店舗・事業所において、継続的に事業(営業)を行っていること
3.賃上げ加点
一般型と同じ
添付書類
一般型
(共通)
・小規模事業者持続化補助金事業に係る申請書(様式1-1)
・経営計画書兼補助事業計画書①(様式2-1)
・補助事業計画書②【経費明細表・資金調達法】(様式3-1)
・事業支援計画書(様式4):地域の商工会議所が発行
・補助金交付申請書(様式5)
・電子媒体(CD-R・USB メモリ等)
(法人の場合)
・直近1期分の貸借対照表および損益計算書
・株主名簿(計画書に出資者の名称、出資比率が記載されてない場合)
(個人事業の場合)
・直近の確定申告書または所得税青色申告決算書または開業届
(賃上げ加点を希望する場合)
・従業員に表明した文書
(事業承継加点を希望する場合)
・事業承継診断票(様式6)
・代表者の生年月日が確認できる公的書類の写し
・「後継者候補」の実在確認書類
(経営力向上計画加点を希望する場合)
・「経営力向上計画」の認定書
※その他細かいケースがありますが省略
低感染リスク型ビジネス枠
(共通)
・経営計画及び補助事業計画(様式1)
・代表者本人が自署した「宣誓・同意書」(様式2)
(法人の場合)
・直近1期分の貸借対照表および損益計算書
(個人事業の場合)
・税務署の収受日付印のある直近の「確定申告書」(第一表・第二表)
・所得税青色申告決算書1~4面全て(白色申告の場合は、収支内訳書1~2面で可)
(商工会・商工会議所にて助言、指導等の支援を受けた場合)
・支援機関確認書
(緊急事態措置による影響加点を希望する場合)
・緊急事態措置の影響による事業収入の減少証明(様式3)
(多店舗展開加点を希望する場合)
・本社以外に事業に使用している事業所に関する事業所名(店舗名、支店名)、住所、電話番号、本社以外に事業所を有していることが分かるWebサイト(自社のHP)のURLを記載
(賃上げ加点を希望する場合)
・従業員に表明した文書
採択後の流れ
①採択結果通知の受領:採択又は不採択の結果の通知書が送付されます
②交付決定通知書の受領:交付決定日(補助事業の開始可能日)を確認します
③補助事業実施
④実績報告書等の提出:補助事業完了時から30日以内又は最終提出期限(公募ごとに定められている)のいずれか早い日までに提出します。提出書類は実績報告書、支出内訳書、経費支出に係る証拠書類等です。
⑤補助金確定通知書の受領
⑥精算払請求書の提出:確定額を基に、精算払いを請求します。
⑦補助金受け取り:振り込みの通知はないため、通帳で入金を確認します。
⑧書類の保管:補助金の対象となる領収書や実績報告書の写し等を含む一連の証拠書類は、補助事業の終了後も5年間は保管しておく義務があります。
⑨事業効果および賃金引上げ等状況報告の提出:補助事業の完了から1年後に文書で提出します。「賃上げ加点」の適用を申請した事業者については、「賃上げの状況」についても併せて報告の必要があります。
2.べからず集
甘く見る
持続化補助金は比較的ハードルが低い補助金ですが、採択率は4割強とそこまで高くありません。補助額が多額ではないので甘く見てしまう場合もありますが、計画書は補助金のためだけでなく自社の経営にも役立つものですから、しっかり記載しましょう。
一般的な補助金のべからず集
こちらの記事(補助金申請〜A to Z〜)をご参照ください。
持続化補助金は難易度が高くないため、その気になれば自力で作成するのも可能です。しかし、中には補助金申請に慣れていない方もおられるでしょう。弊所でも補助金支援をしています。ぜひご検討ください。