事業継続力強化計画のガイド
目次
01.概要
中小企業が策定した防災・減災の事前対策に関する計画を経済産業大臣が「事業継続力強化計画」として認定する制度です。認定を受けた中小企業は、税制措置や金融支援、補助金の加点などの支援策が受けられます。
02.検討したい会社
防災・減災に向けた取組を考えている会社
事業継続力強化計画は、防災・減災の事前対策に関する計画です。この計画が認定されれば、信用保証協会から保証を受けやすくなったり、対象設備の税制を用いることにより資金繰りが改善されたりする可能性があります。そのため防災・減災に向けた取組を始めたい会社にとってはメリットが大きいと言えます。
ものづくり補助金の応募を検討している会社
事業継続力強化計画に認定されるとものづくり補助金の審査において加点されます。ものづくり補助金は規模が大きい補助金なので、応募を検討している会社は本計画の申請を検討した方が良いでしょう。
03.メリット
Ⅰ金融支援
信用保証の別枠
信用保証協会による債務保証の範囲が拡充されます。具体的には、通常枠(普通保証2億円、無担保保証8,000万円)とは別に、別枠(普通保証2億円、無担保保証8,000万円)が設けられます。また、新事業開拓保証の対象について2億円から3億円に引き上げられます。これらにより、事業継続力強化計画の認定を受けた会社は融資を受けやすくなります。
日本政策金融公庫の低利融資
事業継続力強化計画の認定を受けた会社が行う設備投資に必要な資金について、低利融資を受けることができます。
Ⅱ税制優遇
防災・減災設備を導入した場合に取得価格の20%を特別償却することができます。対象設備は、機械装置(100万円以上)、器具備品(30万円以上)、建物附属設備(60万円以上)である必要があります。
Ⅲ補助金加点
事業継続力強化計画の認定を受けていればものづくり補助金等において加点されますので採択されやすくなります。ものづくり補助金については、ものづくり補助金~申請のガイド~をご確認ください。ものづくり補助金はそれなりの額が補助されるメジャーな補助金です。
Ⅳ認定を外部にアピール
事業継続力強化計画の認定を受けるとそれを示した認定ロゴマークを使用することができ、会社案内や名刺でPRが可能になります。また、中小企業庁HPで認定を受けた企業の公表がなされるので外部へのアピールになります。
04.注意点
税制優遇を受けるならスケジュールに注意
設備を取得し税制優遇を受けるには、事業継続力強化計画の認定を受けた後に対象設備を取得するのが必須の流れになります。計画から認定までの標準処理期間は約45日とされています。そのため、他の計画と同様にスケジュールに余裕を持って準備することが大切です。
05.分量と記載項目
記載の分量はA4縦4~6ページ程度です。記載項目は以下になります。
1.名称等
2.事業継続力強化の目標
・自社の事業活動の概要
・事業継続力強化に取り組む目的
・事業活動に影響を与える自然災害等の想定
・自然災害等の発生が事業活動に与える影響
(人員に関する影響)/(建物・設備に関する影響)/(資金繰りに関する影響)/(情報に関する影響)
3.事業継続力強化の内容
(1)自然災害等が発生した場合における対応手順
1 人名の安全確保
2 非常時の緊急時体制 の構築
3 被害状況の把握 被害情報の共有
4 その他の取組
(2)事業継続力強化に資する対策及び取組
A 自然災害等が発生した場合における人員体制の整備
B 事業継続力強化に資する設備、機器及び装置の導入
C 事業活動を継続するための資金の調達手段の確保
D 事業活動を継続するための重要情報の保護
(3)事業継続力強化設備等の種類
(4)事業継続力強化の実施に協力する者の名称及び住所並びにその代表者の氏名並びにその協力の内容
(5)平時の推進体制の整備、訓練及び教育の実施その他の事業継続力強化の実効性を確保するための取組
4.実施期間
5.事業継続力強化を実施するために必要な資金の額及びその調達方法
6.その他
(1)関係法令の遵守(必須)
(2)その他事業継続力強化に資する取組
06.費用の相場
10万円から20万円程度が相場です。
07.まとめ
事業継続力強化計画は比較的ボリュームが少ないにも関わらず、信用保証協会による保証はじめ複数の支援制度を利用することができます。他の計画にはない認定ロゴマークを使えるのも特徴です。大規模災害が頻発するこの時代、防災・減災に取り組んでいることを外部にアピールするのに効果的でしょう。このような取り組みの予定のある企業やものづくり補助金に応募する予定のある企業は本計画の申請を検討しても良いでしょう。