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補助金申請〜A to Z〜

1.補助金を利用するか否かの判断

(1)補助金を使うメリット

補助金は返さなくて良い

補助金とは、ある定められた内容について申請し、その中から一定数の案件が採択され、投資の一部が国など公的な組織から補助される制度です。補助金と似たものに助成金があります。こちらは要件を満たすものであれば全て助成金が支給されますが、補助金は要件を満たしても内容によって必ずしも採択されるわけではない点が異なります。

補助金を使う最大のメリットは、言うまでもなくもらったお金を返さなくても良いことでしょう。補助金によって違いますが、多くの補助金が1/2〜2/3程度補助され、使い方に問題がなければ返さなくても良いことになっています。企業にとってもはそのまま利益になるため、非常に助かるものでしょう。

投資をブラッシュアップできる

補助金をもらう際、通常は申請書で投資の内容を記載します。この内容には強みをどう活かすか、どういうスケジュールで実行するか、どのくらいの利益が見込まれるかなどを記載します。申請前ではあいまいだった投資内容が、申請書を詰めていくにつれ具体的になり、内容が磨かれます。この結果、投資した時の失敗の可能性が小さくなります。

(2)補助金を使うデメリット

不要な投資や過大投資を招くするリスク

お金は時に人を狂わせます。補助金であっても同じです。特にやりたい投資がなくても、補助金がもらえるからと何とか申請をしようとするケースがあります。これでは本末転倒です。自社にとって必要がない投資を補助金がもらえるからといって無理矢理する場合、多くが失敗します。それは当たり前の話で、補助金がもらえるか否かと、その投資がうまくいくか否かは全く別の問題だからです。

また、過剰投資を招きがちだということもあります。前段の話はそもそも投資が必要か否かのケースですが、この話は仮に投資が必要な場合であっても、適正な規模ではなく過大になってしまうリスクです。補助金は必要投資額の半分とか4分の3とか多額の補助が出るのが一般的です。人情としては補助を最大限活かしたくなるものでしょうから、目いっぱい投資額を増やそうとします。しかし、実際は低稼働にとどまるケースも多いです。補助が出るからと身の丈以上に投資した結果、過大投資になってしまうということです。過大投資だからといってすぐやめるわけにはいきません。場合によっては補助金を返還する義務がありますし、撤去費用もかかります。何より多大な時間や労力という人的リソースを使っています。

いずれのケースにしろ、補助金申請では多額の投資をすることが多いので、慎重に判断したいところです。

ランニングコストもばかにならない

設備の購入段階では補助金が出たとしても、維持費や修繕費、固定資産税などのランニングコストは当然自腹になります。投資した設備に必要なスペースを埋められたりしてしまうこともあるでしょう。投資がうまくいって利益を出せば問題ないですが、仮に低稼働となった場合、赤字が発生する可能性があります。この状態が続くと、いくら初期投資の段階で補助金によって得をしたとしても、結局は数年で補助金以上の赤字を出してしまうことになるのです。

管理コストが予想以上にかかる

 補助金の手間がかかるのは採択されるまでだけではありません。例えば、メジャーな補助金であるものづくり補助金を例にとると、一連の手続きは以下のようになります。まず、公募期間中に申請書類を作成し、当局の審査によって採択の可否が決まります。その後、業者への発注・支払いを終え、関連書類をそろえて当局に送付し、検査後に補助金が入金されるという流れになります。ここまででもそれなりの手間ですが、まだ続きがあります。その後数年間は関連証憑を保存しなくてはならず、毎年事務局に報告する義務があります。これら一連の手間が非常に煩雑のため、一部の経営者の方は補助金を利用しなかった方が良かったと言っているのです。

(3)コロナ禍における補助金の意味

コロナ禍において多くの補助金が生まれている

コロナ禍は多くの企業に甚大な影響を及ぼしています。このような状況の中、国は企業を救済すべく多くの補助金を打ち出しました。代表的なものは事業再構築補助金でしょう。また、既存の補助金においてもコロナ禍の影響が大きい企業は有利な枠での申請が可能になっています。ものづくり補助金であれば低感染リスク型ビジネス枠、小規模事業者持続化補助金においても同様の名称の枠が設けられました。コロナ禍で資金繰りが厳しくなった企業も多いでしょうから、これらの補助金は積極的に利用を検討すべきです。

単なる延命のためだけではない

コロナ禍で生まれた補助金はコロナ対策に対する費用を補助するのが基本ですが、補助金を得てただコロナ禍が過ぎるのを待っているだけではいけません。事業再構築補助金において特に顕著ですが、国のメッセージはコロナ禍でも生き抜けるビジネスを作って欲しいということです。補助金を出すのは、そのようなビジネスに移行するきっかけを作って欲しいからです。補助金が出ようが出まいが、コロナ禍によって変わった消費者行動に対応する必要があるのはどの企業でも同じです。であるならば、積極的にコロナ禍に対応し、コロナ禍においても力強く業績を改善し続ける企業体質を目指してはいかがでしょうか。そのような企業こそ、コロナ禍で生まれた補助金が採択されやすくなっています。

2.補助金採択への近道

(1)べからず集〜失敗の原因〜

根本的な誤解〜助成金と混同する〜

冒頭にも書きましたが、補助金と助成金は似ていますが違います。補助金は要件を満たしても良い内容のものから順に採択されますが、助成金は要件を満たせば基本的に全て助成されます。ここから大きな違いが生まれます。補助金においては何をやるか(何に投資するか)が重要であり、それを決めてから補助金の要件を満たすか否かを判断します。一方助成金では何をやるかは助成金ごとに細かく定められているのであまり問題にはならず、いかに要件を満たすかが大切になってきます。つまり補助金と助成金では何をやるかと要件を満たすかの順番が異なるということです。もちろん補助金でも要件を満たすことを優先して何をするかを決めることもできますが、デメリットでも述べたように典型的な失敗に陥る可能性が高くなります。そのため、まず何をやるかを慎重に検討すべきです。この違いがなぜ重要かというと、経営者の方に求められる姿勢が異なってくるためです。つまり、補助金では経営者の方が主体的に考える必要があるのに対し、助成金ではその必要はなく専門家が主体的となります。この点を誤解されている経営者の方が多く、補助金においても助成金と同じ感覚で専門家にほぼ任せようとするケースが見受けられます。補助金を支援する専門家側でも何をやるかすら専門家に丸投げしようとする経営者がいるという不満が挙がることがあり、経営者の方がまず主体的に何をやるかを考えることが大切です。専門家の役割は、経営者の方がやろうとしている投資が妥当か否か、妥当なものでなければどう軌道修正すれば良いか、その上で採択されるにはどのように申請書を記載すれば良いかについて支援をすることです。この点を誤解するとコミュニケーションがうまくいかなかったりトラブルになる可能性があるので理解しておきましょう。

投資内容①〜不要な投資をする〜

繰り返しになりますが、補助金は魅力的なので本来はする必要がない投資をして失敗するケースが後を断ちません。このようなケースを避けるには、仮に補助金が出なくても投資するか否かを自問自答することです。自社にとって本当に必要な投資であれば全額金融機関から借入するなりして何としても投資すると思います。補助金が出るケースであっても同じ目線で考えるべきです。安易に投資してしまうと、失うものは自己資金部分だけでなくそれに費やした時間や人的リソースも含まれますし、さらには撤退するための費用や時間・労力がこれに加わります

投資内容②〜現状分析をしない〜

補助金を利用するか否か、言い換えればその投資をすべきかどうかの判断をする場合、しっかりと現状分析をするのが有効です。現状分析は自社の強みや競合との優劣、顧客のニーズなどを把握することですが、現状分析をすることにより自社としてどうすべきなのか自ずと答えが導かれることも多いです(詳しくは計画作成~A to Z~の現状分析の項目をご参照ください)。設備投資はその結果生産量を上げたり新規事業を始めたりと何らかの大きな影響がありますが、それが必要か否か、成功するか否かは現状分析によって正解の可能性が高まります。

資金繰り①〜自己負担分を考慮しない〜

誤解をされている方がたまにおられますが、ほとんどの補助金は投資の全額でなく一部だけの補助です。逆に言えば、残りの部分は会社が自己負担するということです。さらに、投資全体に対する消費税分についても補助が出ません。そのため、自己負担部分+消費税相当額については自己資金で用意するなり金融機関から借入するなり、何らかの手当てを考えなければなりません。ここをどうするかあいまいだったために、採択されたは良いが資金の都合がつかず辞退するケースも散見されますので充分注意しましょう。

資金繰り②〜入金のタイミングを考慮しない〜

補助金を利用する上で注意しなくてはならないのは資金繰りです。つまり、補助が出る部分については最終的に補助金で賄えますが、いったんは全額を自前で用意しなければなりません。なぜなら、補助金は採択されたとしても、入金のタイミングはそれよりもかなり後になるためです。一方で、工事業者などへの支払いはそれよりかなり早いことが通常です。そのため、いったんは全額を自前で用意しなければならないということです。

補助金申請に慣れている方ならば当たり前のことですが、初めての方は事前にどう対応するか決めておきましょう。自社の預貯金でまかなえるのであればそれが理想ですが、事業再構築補助金における投資額は大きくなる可能性が高いので、たとえ一時的にせよ全額を自前で用意するのは大変かもしれません。そんなときは金融機関へつなぎ融資を打診することをおすすめします。

つなぎ融資とは、一時的に資金繰りが厳しくなったときのために金融機関が貸し出す融資です。「一時的」がポイントです。つまり、通常の運転資金と違って、補助金が入金されれば資金繰りの厳しさは解消されるため、金融機関としては安心して融資できます。そのため、通常の融資よりも事業者にとってのハードルはかなり低くなります。

金融機関へ提出する資料も補助金が採択されたことを証明する資料が多く、返済の時期も補助金入金のタイミングと同じタイミングになります。また、金融機関にとってのリスクが低いためあまり頻繁に目にしませんが、補助金のつなぎ融資においても信用保証協会が活用できます。

自己負担分を金融機関に融資してもらうにはそれなりに返済可能性を納得してもらえないといけないので難易度が上がりますが、補助金部分については採択されていればまず融資してくれます。

そのため補助金入金までの資金繰りに不安があるようでしたら、ぜひつなぎ融資を検討してみてください。

資金繰り③〜税金がかかることを考慮しない〜

これも資金繰りに影響するので注意してください。補助金は課税されます。

例えば、1,500万円の投資をして、2/3の1,000万円の補助金を得たとします。実効税率が仮に23%だとすると、1,000万円×23%=230万円の税金の支払いが決算後に必要になってきます。

このタイミングでの資金繰りが厳しければ、圧縮記帳という税務上のテクニックを使うことができます。これは、補助金1,000万円の部分と同額の損(1,000万円の圧縮損)を計上することで、「課税の繰延」をすることです。「課税の繰延」である点に要注意です。

これはどういうことかというと、仮に圧縮記帳をしない場合、その1,000万円は固定資産の減価償却費として複数年に渡って計上されます。例えば10年の耐用年数と仮定すると、毎年減価償却費が100ずつ計上され、その分支払う税金が減ります。

(※減価償却とは、固定資産の費用計上するタイミングを複数年にわたってすることです。複数年にわたって費用計上されたものを減価償却費といいます。費用計上されれば、その分課税所得が減り、税金も減ります)

圧縮記帳をした場合は毎年の減価償却費100は発生しないので、将来支払う税金を減らすことはありません。

上記の計算例で説明しますと、圧縮記帳を適用した場合は初年度の税金230万円を支払わずに済みますが、その代わり翌年から減価償却費が計上されない分23万円×10年=230万円の税金を支払うことになります。つまり、10年間で支払う税金の合計額は変わらないということです。

ひらたく言えば、圧縮記帳をすれば当期の税金が一気に減り、圧縮記帳をしなければ来期以降の税金を複数年に渡って減らすということです。

このため、圧縮記帳は長期的に見て税金の金額自体を減らすわけではないため、「課税の繰延」と言われます。

当期の支払う税金が減るため、経営者にとってはお得に見えますが、実際には来期以降も含めた税金支払額合計には影響ありません。

それどころか、圧縮記帳をつかうと中小企業経営強化税制など有利な税制のメリットが小さくなる可能性もあります。

(※中小企業経営強化税制とは一定の設備を取得した場合に有利な税制を受けられる制度です。事業再構築補助金に比べ難易度がはるかに低いので検討しても良いでしょう。ご参考までに税制措置・金融支援活用の手引き 

そのため、適用にあたっては資金繰りと将来の税額両方の観点から検討が必要となるので、顧問税理士とよく相談してください。

申請書①〜求められる文章レベルを甘く見る〜

補助金の申請書のレベルは年々上がっています。理由は、ものづくり補助金など何年間も公募が続いている補助金では支援者が申請書作成に慣れ、ノウハウを蓄積しているためです。そのため、初めて申請書を書く場合では採択されるレベルから程遠い内容になることも少なくありません。特に、ものづくり補助金や事業再構築補助金など補助額が大きい補助金ほどその傾向が強くなります。そのため、事前に十分に時間的な余裕を持って準備することが大切です。

申請書②〜補助金の趣旨に合致しない〜

それぞれの補助金にはお金を出す趣旨があります。この趣旨を無視して申請書を改定も採択は遠のくばかりです。具体的には、補助金の公募要領には補助金の趣旨を項目化した審査項目が公表されています。審査員はこの審査項目に基づいて採点していきます。そのため、どんなによい投資内容であっても申請書に記載されている内容が採点基準に合致しなければ高得点は望めず、そのため採択も不確実になってしまいます。申請前には必ず自己チェックし、各採点ポイントを満たしているか確認しましょう。

申請書③〜楽観的すぎる数値計画〜

申請書には通常数年間の数値計画を記載します。経営者の中には、これだけの売上がほしいという願望も込めて過度に楽観的な水準になるケースがあります。この場合のデメリットとしては、現実感のない数値は審査員にとって説得力が欠けるため採択の可能性が低くなること及び投資の妥当性の判断を誤らせるということがあります。

ではどうすれば良いかというと、数値計画における損益を分解し、現実にイメージできるかどうかで判断するという方法があります。

飲食店の数値計画を例にあげます。飲食店の売上は客単価×客数で計算できます。年間の売上を客単価と客数に分解してもピンときませんが、これをさらに分解していきます。年間の売上を12で割って月の売上を計算でき、それを営業日数で割って一日あたりの売上を計算でき、さらに営業時間数で割ることにより1時間あたりの客単価×客数にまで分解できます。当然時間帯によって客数は大きく違いますから、ピーク時と非ピーク時での客単価×客数は別に計算します。さらに、席数なども考慮し、ピーク時の客数はこのくらい、暇な時間帯は何人くらいというくらいまで分解できれば、経営者が実感できるレベルになります。さすがにこんなにたくさんの客は現実には難しいだろうなと思うこともあれば、いや実際はもっとたくさん入るんじゃないかななど、リアリティのあるイメージができます。

上記の流れをひとことで言えば、経営者の実感レベルまで数値を分解し、現実的に達成可能かどうかの腹落ちをするということです。その結果、ちょっと非現実的な想定だったかなと思ったら投資をやめる選択肢も検討に入れても良いでしょう。

投資のタイミング〜見切り発車をする〜

投資をするタイミングが縛られることもあります。例えば事業再構築補助金の場合、補助金の交付決定以降の設備購入が原則とされています。もう少し細かく見ると、公募開始→締め切り→採択→交付申請→交付決定という段階を経ることになります。例外として、事前着手の申請をし、承認されることで、採択前であっても2月15日以降の設備購入であれば補助対象となりうるという場合があります。しかし、この場合においては採択前の購入ですので、採択されるかどうかは不明です。つまり、購入してしまっても採択されなければ補助の対象とならず、投資全額が自己負担となる可能性があるということです。こういうケースもあるので投資のタイミングには注意しましょう。

(2)専門家に依頼すべきか否か〜専門家を利用するメリット〜

専門家を利用すると大きなメリットがありますが、必ずしも全ての企業で必要ではありません。具体的には下記のメリットがありますが、これらを自社でできる、又は求めないのであれば専門家を無理に使う必要はなく、自社で申請書を作成すれば良いでしょう。逆にもし不安なのであれば専門家の利用をお勧めします。現実的には、中堅規模以上の会社であれば自力で申請しているケースも多いです。小規模の会社では、社長か経理(財務)担当の方が申請書を書くのが得意であれば自力で申請しているケースもあります(この場合においても後述の認定支援機関による確認書は必要になります。実務的には商工会議所等に出してもらうケースが多いです)。ただし、多くの会社においてはやはり専門家に依頼するのが良いです。認定支援機関(認定支援機関を利用しよう)であれば補助金支援の経験がある可能性が高いです。身近な顧問税理士、中小企業診断士の方に尋ねて見るのも良いでしょう。

弊所でも補助金支援をしています。ぜひご検討ください。  

あらたま会計事務所の補助金支援を検討する

文章力が高い

補助金申請に慣れていない方が現実的に一番苦しむのは申請書の記載です。記載のボリュームも多く、何をどう書けば良いか全くわからないという声を非常にたくさんいただきます。もしもこのような状態であれば、迷わず専門家に依頼すべきです。頑張って自力で作成したとしても、ライバルの申請書は慣れている専門家が書いていればもっと高水準の可能性が高く、採択の可能性は不透明です。審査員も多くの申請書に目を通すことになりますので、一読して読みやすく内容も理解できる申請書にする必要がありますが、慣れていないと難しいと思います。

他事例に詳しい

専門家の役割を具体的に言えば、経営者の方がやろうとしている投資が妥当か否か、妥当なものでなければどう軌道修正すれば良いか、その上で採択されるにはどのように申請書を記載すれば良いかについて支援することです。その判断の根拠が事例の蓄積です。補助金を支援している専門家は一つの補助金だけでなく他の補助金についても詳しいですし、一つの補助金についても採択事例や不採択事例、要件の不備事例などに詳しいです。また、当然ながら公募要領も読み込んでいます。会社が自力でこれらのことを調べたり読み込む時間がなければ専門家に依頼するのも大きなメリットと言えます。

数値計画の制度が高い

申請書では簡単な将来数値計画を記載します。そこまで厳しく見られるわけではないですが、やはり利益などの指標の解像度が高く、水準が現実的であれば投資が成功する可能性も高いと判断され、採択の可能性が高まります。そのような数値計画を作るには、基本的な会計知識が必要になってきます。専門家はこのような作業に慣れていますので、もしも数値計画を作るのに不安であれば専門家の利用を検討しても良いでしょう。

補助金の情報をタイムリーに教えてくれる

どのような補助金があるか網羅的に知ることが難しいのは、毎年のように補助金の中身が変わることと、非常に沢山の補助金があるためです。例えば、業界において今年の主となる補助金は事業再構築補助金、ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金、IT導入補助金、事業承継・引き継ぎ補助金と言われています。このうち、事業再構築補助金は非常に注目されている今年からの制度ですし、ものづくり補助金も公募のたびに内容が少しずつ変化しています。事業承継・引き継ぎ補助金は旧事業承継補助金と旧経営資源引継ぎ補助金が統合され、名称とともに内容も少し変わりました。

主要な補助金だけでもこのように毎年変わっていますが、上記の主要な補助金以外にも多種多様な補助金があります。例えば、特定の業種(一次産業が多い)に使える補助金や市町村が独自で実施している補助金もあります。これらは主要な補助金に比べ予算が少なく、そのため採択数が少なくなります。

では具体的に、どのような対応が取れるのか。会社がある補助金の存在を知るきっかけはいくつかあると思いますが、メルマガや知人から教えてもらうというのが一般的かと思います。もしくは検索をするという方もいらっしゃるかもしれません。この場合のリスクは、情報に偏りがあるという点です。メルマガは発行する組織によって偏りがありますし、複数の補助金の紹介があってもその軽重が不明のため、どの補助金が自社に一番良いか判断が難しくなります。知人からの紹介であればその方のフィルターに左右されます。検索する場合はその時点での情報であり、タイムリーな情報を得ることは難しくなります。つまり、自力では限界があるということです。逆に言えば、詳しい人に相談するというのが一番確実な方法です。理想は補助金に詳しい顧問税理士に相談することでしょう。顧問税理士であれば定期的に会っているでしょうし、仕事柄詳しい方も多いです。ただし、補助金は税理士の業務において必須の情報というわけではないので、中にはあまり詳しくない税理士もいます。その場合は税理士にこだわらず補助金に詳しそうな人を探せばよいでしょう。一般的に何らかの士業であれば補助金に詳しい人は多いといえます。